マザー・テレサがインドに創設した「神の愛の宣教者会」で、修道女と職員が人身売買の容疑で逮捕されました。
少なくとも「5人の赤ちゃんを売った」容疑ですが、どうやら余罪がどんどん出てきそうな気配です。
インドでは人身売買が一大ビジネスとして横行。年間10万人以上の子供たちが行方不明になっているそうです。
これがインドの現実か。全ての州政府に「神の愛の宣教者会が運営する全国の児童養護施設に対する即時の検査」が命じられる事態に
インド国内には「神の愛の宣教者会」が運営する児童養護施設が、多数存在しているようですが、もしかすると、今回逮捕者が出た施設以外でも、人身売買が行われていた可能性が出てきました。
まずは7月7日のニュースから。
マザー・テレサの修道会、赤ちゃん売買で修道女ら逮捕に「遺憾」 インド 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
【7月7日 AFP】マザー・テレサ(Mother Teresa)が1950年にインドで創設した女子修道会「神の愛の宣教者会(Missionaries of Charity)」は6日、同会所属の修道女と職員の女計2人が未婚の母親たちが産んだ赤ちゃんの人身売買容疑で逮捕されたことを受け、憤りと遺憾の意を表明した。
インド東部ジャルカンド(Jharkhand)州の州都ランチー(Ranchi)の警察は5日、神の愛の宣教者会の施設の一つで少なくとも5人の赤ちゃんを売った容疑で修道女と職員の計2人を逮捕した。
(略)
事件が発覚したのは、地元の児童福祉局が今週、未婚の妊婦や困窮する母親の面倒をみている同修道会の施設にいた新生児1人が行方不明になっていると警察に通報したことがきっかけだった。
(略)
警察は、容疑者2人がこの赤ちゃんを隣接するウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州の夫婦に1700ドル(約19万円)近くで売っていた証拠を突き止めた。
赤ちゃんを1人売って19万円ほどの儲けですか。現時点で少なくとも5人売ったことは間違いなさそうですから、容疑者連中は相当稼ぎましたね。累計だとどれくらい売ったんでしょうかね?
インドの物価を考えれば、荒稼ぎもいいとこです。笑いが止まらなかったことでしょう。犯した罪は地獄でしっかり償っていただきたいです。
今回、逮捕されたのはたったの2名ですが、他の修道女や職員は、赤ちゃん売買に関しては、見て見ぬふりだったんでしょうか。全然気付かなかったんでしょうか。それとも、ちゃんと分け前をもらっていたのかどうか。グルだった可能性は無いでしょうか。
もしも地獄があるならば。地獄があると信じているならば。修道女の皆さん、今どんな気持ちでしょうかね。
なかなかキツい話です。
7月17日のニュース。
印当局、マザー・テレサの修道会運営施設を検査へ 赤ちゃん売買発覚で 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
【7月17日 AFP】マザー・テレサ(Mother Teresa)が創設した修道会所属の修道女らが養子を売買した容疑で逮捕されたことを受け、インド当局は16日、この修道会が運営する全ての児童養護施設に対して直ちに検査を行うよう命じた。
(略)
今月に入って警察当局は、同国東部ジャルカンド(Jharkhand)州の州都ランチー(Ranchi)にある「神の愛の宣教者会(Missionaries of Charity)」の施設の一つで、少なくとも幼児5人を数千ドルで売ったとして修道女と職員の計2人を逮捕した。
今回の事件は地元の児童福祉局が、未婚の妊婦や困窮する母親を世話する同修道会の施設で新生児1人が行方不明になったと警察に通報したことで発覚。
16日午後に発表された声明でマネカ・ガンジー(Maneka Gandhi)女性・児童育成相は、全ての州政府に「神の愛の宣教者会が運営する全国の児童養護施設に対する即時の検査」が命じられたと発表した。
(略)
神の愛の宣教者会はマザー・テレサが1946年に創設。世界的な慈悲の象徴となったマザー・テレサは1997年の死後、「聖人」に認定された。(c)AFP
「マザー・テレサ」の看板が泣いてるよ。ホント…。
そういえば去年かな、こんな映画を観ました。実在するインド人少年の体験を元にした映画です。
『LION/ライオン ~25年目のただいま~』という映画です。
オーストラリアで幸せに暮らす青年サルー。しかし、彼には隠された驚愕の過去があった。
インドで生まれた彼は5歳の時に迷子になり、以来、家族と生き別れたままオーストラリアへ養子にだされたのだ。
成人し、自分が幸せな生活を送れば送るほど募る、インドの家族への想い。
人生を取り戻し未来への一歩を踏み出すため、そして母と兄に、あの日言えなかった〝ただいま″を伝えるため、彼は遂に決意する。「家を探し出す―」と。
ある日、お兄さんと一緒に街へ出かけ、迷子になってしまった5歳の少年サル―。
サルーは、路上で生活し、何度も危ない目に遭いながら、生き延びます。
路上で寝ているホームレス少年をいきなり襲ってくるタイプの人さらい、
最初は優しい笑顔で近づいてくる善人のふりをした人身売買のブローカー、
やっと保護施設に入れたとしても、そこにさえ悪い大人はいっぱいいます。
(うろおぼえ)
5歳の子どもが、言葉も通じない見ず知らずの土地で、ひとりで生きていく。
日本ではちょっと考えられないというか、ピンと来ません。
普通に考えれば「迷子の子どもは、発見した大人が警察に引き渡せばそれで解決」って思っちゃいますよね。
でも、インドではそうならない。(少なくともサルーの場合は)
インドは広く、さまざまな言語や方言が使われているんですね。
こっそり乗った列車から降りられず、遠くまで運ばれてしまったサルーは、言葉がサッパリ通じない土地でひとりで生きていかなければならなくなったんです。
サルーが誘拐されそうになるシーンが何度もあります。
ものすごく親切にしてくれて、ご飯を食べさせてくれて、シャワーで体をキレイに洗ってくれる人も登場します。
一見、善意の人かな?って思うんだけど、実際には「サルーを高値で売りたい」から、商品として見栄えをよくしてるだけだったり。
これが、インドの現実なんでしょうね。
だって、この映画はサルーが実際に体験したことを元にしていますから。
ちなみに、路上で寝るにしても、食べ物はどうしているんだろう?って思いますよね。
これねぇ、インドならでは、というか。
寺院とか、仏像?みたいな宗教的な建造物がある場所には信者が「お供え物」を置いていくわけです。
もちろん、それを勝手に食べちゃダメなんでしょうけど、ホームレスとか、サルーのようなストリート・チルドレンは、そのお供え物をこっそりいただく、という最終手段があるんですよね。ある種のセーフティーネットというか。
最悪、何も食べるものが無い、空腹で死ぬ、という時は、お供え物をありがたくいただく、みたいな形で、生きながらえることができるんですね。
これって、形はどうあれ、ある意味では「宗教が苦しみの中にいる人を実際に救っている、助けている」瞬間だなぁと思いました。
『LION/ライオン ~25年目のただいま~』は、なかなかキツい内容でしたが、個人的には観て良かった映画でした。
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