映画『グリーンブック』を観た感想(少しだけネタバレあり)

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映画『グリ―ンブック』を観てきました。

黒人でも白人でもイタリア系移民の子でもない、ゴリゴリ日本人の私としては、作品の持つ空気感を、さらっと表面だけしか感じ取れませんでしたけど、そういう若干、無責任な立場から言わせてもらうと、想像以上に面白かったです。

 

1960年代の実話を基にした作品です。天才黒人ピアニストのシャーリーは、何故あえて、黒人差別が色濃く残る南部を周るコンサートツアーの旅に出たのか…?

人種差別の問題などを扱った映画となると、けっこう、重たい雰囲気とか、観ていて辛いシーンなんかも多かったりすると思うんですが、この映画『グリーンブック』は、そのへんを、ポップに、軽いノリで、描いています。

そういう意味では、割と、老若男女、どんな人が観ても、楽しめるんじゃないかと。

 

難しく考えようと思えば、どこまでも難しい。

しかし、

軽い気持ちで観ようと思えば、それも可能。

そんな守備範囲の、だだっ広い映画です。

 

やっぱりね~、日本に住んでると、アメリカ南部の黒人差別とかって、あんまりピンとこないじゃないですか。

おそらく、本当の事を言うと、今でも、根強く残っているんでしょう。

過去の話では、断じて、ない。

 

そういう、なんつーかなぁ、偽善と言うか、なんというかなぁ、

「昔は人種差別、酷かったよね!」みたいなさ、

今では差別は無くなりました的なニュアンスを含んだ言い方とかに対して、モヤッとしてる黒人の方々って、いっぱいいると思うんですよね、実際には。

 

でもやっぱさ、日本に住んでると、そういう空気、実感としては、なかなか分からないじゃないですか。

そういう意味では、映画『グリーンブック』は、人種差別なんてまるで他人事のようにしか感じていない日本人が観たとしても、それはそれで、ある意味、分からなくても楽しめる、そういう普遍的な強度を持っていると思いますね。

 

幸か不幸か、私自身はゴリッゴリのジャパニーズですから、そういった深い事情なんかを考慮しながら、映画を観ることはできませんでした。

んが、しかし。

そんな私みたいな門外漢でも、いや、門外漢だからこそ、なのかな、全然、楽しく観れちゃうような映画でした。

 

映画の出来としては80点!みたいな感じじゃないかと。

多くの人にとっては。

 

 

ちなみに、こっちは、重たい映画。

黒人バイオリニストが誘拐されて、南部の農場で奴隷として12年間も働かされていたという実話。メチャクチャ重たい。しかし必見。

gattolibero.hatenablog.com

 

 

映画の内容は、ゴリゴリの王道というかな、ロードムービー的な、バディムービー的な。

まぁ、ありきたりな話なんですよ、ストーリーとしては。

まさかのどんでん返しとかあるわけじゃないし。

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いわゆるロードムービー的な。

旅の途中でいろいろあってどうのこうの、みたいな。

 

んでもって、バディムービー的な。

相棒モノというかな、ふたりの友情の物語、的な。

 

悪い言い方すると、ありがちで、可もなく不可もなく、なんですよね。

ただ、その縛りの中では、かなり完成度が高い。

特にケチをつけたくなるような部分が見当たらない。

 

あげあし取りたくなるような部分もないし、おかしいだろ!ってツッコみたくなるような部分もない。

なんでしょうね、往年のゴールキーパーに例えると、川口よりも楢崎、って感じでしょうかね、スーパープレーが無くとも、凡ミスもない、的な。

かえって分かりにくい例えですね。

 

いずれにせよ、無難と言えば無難なのかな、減点対象になる部分が無いので、必然的に高得点、というか。

そういった意味での80点、といったところでしょうか。

 

個人的には、「大衆にとっては60点かも知れんが、オレにとっては100点だ」っていう、ちょっと異端な部分がある作品のほうが好きですけど、

とはいえ、

『グリ―ンブック』は悪くない映画です。見て損はないかな。

 

そろそろ、若干、ネタバレ的な方向へ言及していきましょうか。

これから映画を観る予定の方は、あらかじめ、ご了承ください。

 

 

【ちょいネタバレ注意】個人的に、面白かった部分。アメリカ人も日本人と同じ感じなんだな…ってシーン。

もしも、日本人が車でアメリカを旅行したら…。

ケンタッキー州の州境の看板を発見した時にさ、

「フォォォ!!!ケンタッキー州に突入!フライドチキン食おうぜ!本場のケンタッキーフライドチキン!」

って、テンション上がるじゃないですか。

 

アメリカ人もそうなるんだな…。

ケンタッキー、イコール、フライドチキン、なんだ…。

「フォォォ!ケンタ!チキン!」みたいになるんだ…。

 

あと、個人的には、このシーンが一番、面白かったな~。

ケンタッキー州で、無事、本場のフライドチキンをGETした後のシーン。

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ゴリゴリの英才教育を受けて育った裕福なインテリ黒人ピアニストのシャーリーは、生まれてこのかた、フライドチキンなどという、庶民の食い物は、食べたことが無いわけよ。

「こんな体に悪そうで、油で衣服が汚れそうな食べ物、どうやって食べたらいいんだ?」って困惑する。

それに対して、THE庶民のトニーが、チキンの食い方と、骨の捨て方を伝授。

 

チキンの骨は…あれだね、自然に還るってことで、「ゴミ」とは認識されてないみたいだね。路上に放り投げてもOKなんだな…。少なくともアメリカでは。

 

 

たとえどんな理由があろうとも、黒人には白人用のトイレを使わせない、という意味不明なルール。

南部の黒人差別のエピソードの中でも、とりわけ、無茶苦茶だなぁと思ったのは、トイレとか、レストランとかの話ね。

 

「絶対に黒人に使わせないマン」が運営してんのかな。

 

だってさ、黒人といえども、その夜の音楽会の、メインの演奏者ですよ?

なんだったら、VIPですよ。客人ですよ。

それでも、

「申し訳ありません(黒人なので)トイレのご使用はご遠慮ください」

の一点張り。

「意地でも、ぜってー、トイレ使わせねぇ」っていう。

なんだ

なんなんだ、このシステムは。

 

相手の黒人が、客人だと把握している。

今夜のコンサートの主役だと把握している。

招かれた著名なピアニストだと把握している。

でも、ぜってートイレとかレストランは使わせねぇ!

って、

どういう発想なんでしょうかね。

その「全力で阻止する!感」って、なんなんだ。

 

まぁ、そんなこんなでね、いろんなエピソードがあって。

シャーリーとトニーは、お互いに信頼関係を深めていく…わけですが。

とにかく、そんな映画です!

興味を持たれた方は、ぜひ映画館へGO!

(スゴイまとめ方)

 

このへんの動画は、ネタバレと言うか、映画の裏話的な部分もあるので、是非、作品を映画館で堪能したあとに、ご覧いただきたいですね。

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映画『グリーンブック』公式サイト

 

1962年。天才黒人ピアニストは、粗野なイタリア系用心棒を雇い、〔黒人専用ガイドブック<グリーンブック>〕を頼りに、あえて差別の色濃い南部へコンサート・ツアーへ繰り出す。旅の終わりに待ち受ける奇跡とは? まさかの実話!

 

関連過去記事。

正直な話、アカデミー賞ってなんなんだ?もしかして…クソ?って部分にも言及。

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アカデミー賞作品を観るんなら、個人的には「スポットライト」がオススメって話。

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