正直に「ムーンライト、イマイチだったなぁ」って言うと、めちゃめちゃバッシングされそうな気がしたので、ずっと書いてなかったんだけど、実はけっこう前に観てきました。
おそらく、自分の中でハードルが上がっちゃったんだと思うんだよね…。
アカデミー賞受賞したんだから、相当なもんなんだろうなって。
あと、もうひとつ、評価が渋くなる理由があんのよ、私の中では。
先に言っておく。これは、私の心がドス黒く、汚れきっているがゆえに、曇りなき眼で見定めることができないのだろう…と思う。
なんつ~かな、裏事情、みたいなものまで勘ぐっちゃうんすよね。
なんか、裏があるんじゃねぇかな?って。
これはもうね、育ちの問題かもしれないね。
私は心のどこかでは、基本的に世界を信用してないんじゃないだろうか。
アホであったがゆえに、今までいっぱい、いろんな人に騙されてきて、人間不信になって、ダークサイドに転落して、今度は騙す側になって、こっぴどく罰が当たって改心して、そうやって何周もグルグルと回り続けてバターになって。
泥水をすするようにして生きてきた私には、世界を真正面から見定めることなんて、できなくなってしまったんだと思うのよ。
正面から見るだけでなく、裏側からも確認しちゃうんだよね。
高層ビルを見た時に、ハリボテなんじゃねぇか?って裏側をチェックしたくなるわけですよね。
2016年に、かなり問題になったんだよね。
アカデミー賞の受賞者が2年連続、白人オンリーで、黒人たちがメチャ怒ったのよ。
1月14日に今年度アカデミー賞のノミネートが発表されるや否や、ツイッターに#OscarsSoWhite(アカデミー賞は真っ白)のハッシュタグが出回った。
最優秀主演男優/女優賞、同助演男優/女優賞の候補計20人がすべて白人、黒人俳優はひとりも含まれていなかったのだ。
昨年度も同様で、これで2年連続となった。
受賞者の中に黒人がいないだけではなく、そもそも1人たりとも黒人はノミネートさえされないという状況に、黒人たちの怒りが爆発。
デモだか、ボイコットだか、まぁ揉めたわけよ。
んでさ。
そういう騒動のあとですよ。
さぁ、2017年のアカデミー作品賞は?
っていったら、
「(出演者オール黒人の)ムーンライトです!」
ってなって。
でしょうねぇ、っつーか。
なんつーか。
まぁここでもしも「ラ・ラ・ランド」が受賞、なんてことになったら、おそらく暴動が起こるだろうし、そこはもう、空気読んでやっぱ今年は黒人ですよね、みたいな。
いろいろと大人の事情っつーかな。
これ、みんなが空気読まずに、普通に投票してたら、黒人監督、黒人キャストの作品が受賞することは無かったんじゃないでしょうかね。
投票権のあるアカデミー会員の9割は白人
らしいですからね。
「年老いた白人男性」が多数を占めてるらしいんでね…まぁ、そういうことです。
権力、権限を誰が握っているのか?って話です。
まずひとつ、そのへんが引っかかってるんだよね。
もっと言っちゃうと「ラ・ラ・ランド」の高評価もどうかなぁって思ってます。
アカデミー賞に投票できるのは、ハリウッド在住の映画関係者、ってことらしいんだけど、なんかね……まぁ「内輪ウケ」的な要素があるらしいのよ。
某映画評論家の人が「ラ・ラ・ランド」の凄さを喜々として語っているのを見たんだけどさ、
「映画関係者なら誰でも分かるオマージュがいっぱい!ホントすごい!」
とか
「ハリウッド在住の人なら分かる~!ってロケ地がいっぱい!ワクワク!」
とかさ。
えっ?そこを映画の一押しポイントみたいに評価するの?
それって完全に、話の本筋と関係ない枝葉の部分じゃね?
そこを推すの?
逆に聞きたいけど、熱心に推すべきところがそこなの?
って思っちゃったから、シラケちゃったよね。
(当然、観に行ってない)
ハリウッド在住じゃなければピンと来ない面白さとか、
事前に過去の名作を見ていないと理解できないオマージュとか、
そんなの正直、どうだっていいよって話です。
個人的にはね。
そういう楽屋ウケみたいなのは、求めておりません。
存分に楽しむためには、事前の予習が必要ってのはちょっとキツイ。
ただ、ハリウッド在住の映画関係者にしたら、超~面白かったらしいわ。
まぁ分かるよ。
もしも、私の家の周りで映画が撮影されたとしたら、私はその映画に一票入れるもんね。
「あ~!このシーン!今、オレんち映ってる!ほら、主人公の後ろ、あれ、オレんちだから!」
「このコンビニ、よく行くところなんだよね!主人公が買い物してるよ!」
とかね。
まぁ、楽しく観れますよ。
そう考えるとさ、アカデミー賞っていったい何なんだろうね。
え~~と。
アカデミー賞は素晴らしい賞です。
投票権を持っている会員のみなさんも素敵です。
ムーンライトに話を戻そう。
映画「ムーンライト」は全方位的に、ディスれない雰囲気を醸し出している、っちゃ醸し出している。
「ムーンライト」はイイ映画か?
って言われたら、イイ映画だと思う。
こういう感じ、けっこう好きなのよ。
好きなんだけどさ、観る前に超~期待しすぎたから
「思ってたほどじゃなかったな」
ってなっちゃった。
いろいろとね、ハレモノにさわるような…っつ~かさ、なかなか言及しづらいところはあるんだよ。
いろんな社会問題が複雑に絡み合っててさ。
人種差別、
貧困の問題、
麻薬、ドラッグ、
DV、虐待、
シングルマザーの問題、
学校でのいじめの問題、
同性愛者が抱える問題
思い出したものをザッと挙げるだけでも、これだけの問題が描かれてんのよ。
もっといろんな問題も含んでるかな。
すごい映画だよね。
だからさ、ムーンライトに対して、下手にネガティブな言及すると、あっちの団体、こっちの団体、いろんなクラスタ?から、バッシングが飛んできそうな怖さってのがあってさ。
めちゃめちゃ慎重に語らないと、謝罪することになりそうなんだよな~。
ただ、ここで日和(ひよ)ってたら情けないんで、一応、映画の中でモヤッとした部分に言及します~。(オレなりの男気)
ネタバレになります。映画「ムーンライト」のここがモヤった。
ネタバレになるので、これから観る予定の人はスルーしちゃってください。
え~とね。
個人的に、ここモヤるなぁ~って思った部分はさ、
主人公、シャロンの少年時代のシーンに出てきた、麻薬の売人のボス「フアン」だよね。
「フアン」役のマハーシャラ・アリは、ムスリムとして初のアカデミー助演男優賞を獲得したんだけど……。
え~~とね、演技が上手いとかヘタとか、そういうことじゃなくてさ、キャラの設定にモヤっとしたんだよね。
あんな、物分かりのいい優しそうなお父さん的キャラでよかったのかな?って疑問に思ったんだよね。
リアリティの問題。
麻薬の売人のボスが、あんな優しさオーラ全開でOKなのかなって。
実際には、ああいうもんなのかな?
ステレオタイプかもしれないけどさ、私の中では、犯罪組織でそれなりに上まで登りつめた男なら、どこか狂気を秘めた部分が見え隠れしてるはず、って気がしてさ。
実際、あんなソフトな感じになるのかな?って。
例えば、イジメられていたシャロンを見た時に、自分自身の少年時代を思い出し、その結果「父性本能」が炸裂して「THE・包容力の塊」みたいになってしまった、っていうのはアリだと思うけど、
ふとした瞬間に、麻薬の売人のボスの顔を見せた方が、リアリティあったと思うんだよね~。
やさしさ一辺倒だったのよ。
どこをどう切っても「優しいお父さん」って感じだったんだよね。
例えば、ヘマこいた舎弟を無表情でボコボコにするシーンとか、あったほうが
「あ~…この男の二面性…ヤバいな…過去に心が引き裂かれるような辛い思いしたんだろうな…」
とかさ、観る方も感じるじゃないですか。
平然と人を殺した後に、少年シャロンに向かって「飯でも食いに行くか?」って微笑むとか。(それはやりすぎか)
とにかく「フアン」は、ず~~~っと、優しくて、立派で、良い人だった。
非の打ちどころがなかった。
麻薬の売人のボスなのに。
(結果、助演男優賞)
それ、ちょっと気になりました。
あともう一個ね。
大人になったシャロン(通称・ブラック)ね。
ブラックが、出所後に麻薬組織で成り上がって、カネと地位を手に入れたわけだけどさ。
ず~~っと、彼氏も彼女もいない、童貞っていう設定ってのはどうなんだ?
あんな、いかつい風貌でさ。イイ車に乗ってさ。
それでチェリーボーイって…ある?
たくさん、いろんな女が言い寄ってきたはずだよ?
ゲイのメンズからも、モテたはずだろう?
なんで相手がいないのか。
なんで夢精して目を覚ましちゃうんだよ?
彼氏彼女いない歴イコール年齢っていう設定なんだよね?
違うのかな?
学生時代の片思いの相手を忘れられずに、今でもずっと思っている…。
っていう痛々しいまでの純情。
めちゃめちゃ鍛えてて、ものすごいマッチョなのよ。
バッキバキ。
しかも、金のぶっといネックレスしてさ。
いかにも「精力絶倫」って感じなのに、童貞なのか~。
あるのか~。
そんなことがあるのかぁ~~…。
モヤッとするなぁ~~…。
はい、言いたいことは言い切りました。悔いはございません。まとめ。
ということでね、「ムーンライト」。
観終わったあと、ちょっと不完全燃焼でした。
ハードル上げすぎて。
ちなみに一年前のアカデミー作品賞、
「スポットライト」は、かなり面白かったですよ~。
こっちはもう、文句なしです。
めっちゃ骨太な社会派の映画でした。
一年前のエントリーなんですが、ブックマークもスターも1個もついてないw
そうか~ブログ始めてまだ2カ月くらいの時に書いたんだな…。
2016年のマイベストな予感、って書いてますね。
ぶっちゃけた話、何か映画を観に行くのなら「ムーンライト」よりも「この世界の片隅に」をオススメします。
これはね~、本当にヤバかったです。
「この世界の片隅に」を観る前も、めっちゃハードル上げまくっちゃったんですよね。
期待しすぎて。
大体の場合、期待しすぎると失望するんですけど、「この世界の片隅に」は、そのハードルをラクラクと超えてきちゃったからね。
想像をはるかに超えて良かったです。
正直、度肝抜かれました。
いろんな評論家が言ってますけど、まぁホントに、100年後も語り継がれる映画です。
マジで。完全に別格。
今日はこのへんで。