『パッドマン 5億人の女性を救った男』を観てきました。
生理用ナプキンの普及に人生を捧げた、あるインド人男性の挑戦を描いた実話です。
「男が…生理用ナプキン?」
古くからの習慣や、偏見の目など、たくさんの困難が立ちふさがったことは容易に想像できますよね。
ましてや、生理用品が普及していないインドの話ですから。
ネタバレありとかナシとか、そういう話じゃないんで。予告編そのまんまです。パッドマン。
もうね、どんでん返しとか、まさかの展開とかね、そういうのも含めて、想像ついちゃうんで。
なんといっても、実話をもとにしていますからね、あんまり荒唐無稽なことは起こらないわけで。
常識の範囲内で、想像の範囲内で、ありがちな感じで二転三転していきます。
映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』予告(12月7日公開)
良い話です。
素晴らしい偉業。
主人公のおっさん、「ラクシュミ」氏の高い志、そして成し遂げたことは、称賛に価すべき偉業です。
そこに、文句のつけどころはございません。
で~す~が。
今回は映画のレビュー、感想ですから。
「映画の出来」としてどうか?
といえば、
ん~~……
・・・・・・・・・
まずまずといったところでしょうか。
悪くはない…全然、悪くはないけど、「すごい映画だ!」と言えるほど良くもない、というか。
まぁ、合格か不合格かでいえば、合格かな、というところでしょうかね。
100点満点で60点~70点、ってところですかね。
(スイマセン、私は、かなり厳しめです。)
インド映画は、こんな感じが「理想」なのかな、インドの観客を満足させるには、こういう感じになるのかな、とか思ったりして。
いや、もしかすると、
古い映画の慣習を破って、新しいことに挑戦しているのかも知れません。
例えば…
突然、歌い、踊り出す、インド映画ならではの「いきなりミュージカル」みたいな演出を極力抑えた…とか?
いや、実際のところは分かりませんけど。
例えばね、途中で「トイレ休憩」みたいなのが入るんですよね。
「引き続き後半もお楽しみください」
みたいなテロップが出て。
こういうのって、おそらくインドの映画特有の文化じゃないですか。
おそらく、インドの映画館では、そのシーンで一回、映画がストップして、みんなトイレ行ったり、立ち上がって背中伸ばしたりするんじゃないかと思います。
もちろん、私が観たのは日本の映画館でしたので、実際にはトイレ休憩はありませんでした。
「引き続きお楽しみください」のカットの後、すぐに後半が始まりましたけどね。
でね、まぁ、とにかく。
途中で休憩が入るくらいですから、正直、映画自体が「無駄に長い」んですよね。
そのエピソード、けずっちゃっていいんじゃない?、って思うシーンがあったりして。
もっと整理して、短い映画にできたんじゃない?
生理用ナプキンの映画だけに、「整理」しましょうよ、なんつって。
いや、冗談じゃなく、ホントに。
でもさぁ~、本場のインド人たちが、「(無駄に)長い映画」を欲してるんだとすれば、あえて切り詰めずに、尺を伸ばすのが正解なんだろうな、って気もするんですよね。
インドの人たちの間に、少しでも長く映画を観ていたい、という気持ちがあるんだとすれば、多少、間延びした映画だとしても、似たようなエピソードの繰り返しだとしても、それはそれで、むしろアリなんじゃないかと。
そう考えると、私が
「似たようなエピソードは削ってよかったんじゃないか?」
とか
「もうちょっとテンポよく話を進められたんじゃないか?」
とか
指摘するのって、なんか見当違いな気もするんよね~。
インドの観客はそんなの求めてないのでは?って。
とにかく「映画館での非日常、夢のひととき」を少しでも長く享受していたい、というのがインド大衆の総意なのだとしたら…と考えると、あぁ、この映画は、これで正解なのかなぁと。
あと、個人的に、スゲー気になった部分、ちょっと言わせてほしい。「寝てる女性にこっそり近づいて触るシーン、多くね?」
重箱の隅をつつくような話で恐縮なんですけどね、ちょっと一個だけ、気になったんで。
話の本筋とは全く関係のないところへの指摘なんで、どうでもいいっちゃどうでもいい話なんですけどね。
主人公のおっさん(ラクシュミ)が、寝ている女性や、何か作業に没頭している女性に、こっそり近づいていって、そっとカラダを触って、女性に「ギャー!」ってビックリされるシーンが何度も繰り返されるんですけど、これ、何なの?って話なんすよね。
若干、ストーカーチックというか。
そういう性癖の持ち主なのかな?とか気になったりして。
な~んかね~、そういうシーンが多いんですよ。
5回くらい?あったかな?
いや、もっとあったかな?
女性が何か作業してるとするでしょ、そうすると、主人公のおっさん(ラクシュミ)が、そ~~~っと女性に近づいていって、急に目隠ししたりすんのね。
あるいは、意図的に驚かそうとしてんのか、してないのか。
女の人が「ギャー!ちょっと何!?」みたいな。
とにかく、女性に背後から、そ~~~っと近づく、っていうシーン、めっちゃ多いんだけど、何なのコレ?
そういうマニアなのかな。
寝ている女性に、そ~~っと近づいていって、何かする、っていうシーンも多いんよね。
そのへん、ちょっとよく分からないです。どういう意図なのか、どういう演出なのか。
単純にインドではそういうのが流行ってるだけなのかも知れませんし。
インドのメンズはみんなそんな感じなのかも知れませんし。
ちょっとアレですね、日本人の感覚としたら、若干、違和感あるかなぁ。
コンプライアンス的に、ですかね、
ポリティカル・コレクトネス的に、ですかね、
ちょっと横文字苦手なんですけど、意味も分からずに適当に雰囲気で使ってしまいました。
映画の作りの話はいったん置いといて。ラクシュミ氏の偉業の件について。
この話、実話を元に作られてますんでね、主人公のおっさん、ラクシュミは、実在しているわけです。
実際に、何かスゴイ賞もいっぱいもらってるわけよ。
でね、何がすごいかっていうとさ、映画の中でも描かれてますけど、格安で生理用ナプキンを製造する機械を開発したのに、その特許を取らなかったことなんすよね。
「これで特許とれば、大金持ちだよ!」ってビジネスパートナーにそそのかされる場面もあるんですよ。
でもね、そのアドバイスをつっぱねるわけです。
「私が金持ちになるよりも、多くの女性たちが救われることの方が意味がある」
みたいな。
これですよ、これ。
これこそ、本当の偉人。
自分の私利私欲のために生きていない。
みんなそれぞれ、価値観の違いってあるでしょうけど、
私が考える、本当にリスペクトに値する人間って、たくさんカネを稼いだ人じゃないんですよね。稼いだカネをみんなの幸せのために使えるかどうか?なんすよね。
そういう意味では、この映画「パッドマン」の主人公ラクシュミは、間違いなく、偉人、リスペクトに値する人なんすよね~。
たとえ、お金持ちじゃなかったとしてもです。
以前もちょっと書きましたけれども。
お金の稼ぎ方よりも使い方が大事、って話。
ラクシュミは、手作りの「生理用ナプキン製造機」をたくさんの村に提供します。
どの村にも、まずしい女性がいますからね。
仕事が無いからDV夫から逃げることが出来ない女性とか。
足に障害があるから働けないおばあちゃんとか。
ラクシュミは、小さな村々に、小さな小さな生理用ナプキン製造工場を作って、女性たちが働ける場を用意するわけです。
飢えてる人々に魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える、ってやつですね。
ラクシュミは、どうやって「仕事」を生み出せばいいか分からない女性たちのために、
自身の利益ゼロで、ナプキン製造機を売り、
手取り足取り、機械の操作方法を教え、
(ヤクルトレディ的な)販売のノウハウを教え、
村の女性たちだけでビジネスを回せるようにお膳立てする。
そうやって転々と、インド各地の村を回る。
なんですかこれは。
素晴らしい。
頭の良い人たちや行動力のある人たち、いわば「世界を変えるパワーを持っている人々」が、映画「パッドマン」のラクシュミのように、「持たざる者や弱き者」のために、その力を使ってくれたとしたら、世の中、少しは良くなると思うんだけどね…。
私は私なりに、自分にできることをコツコツとやり続けたいと思います。
すなわち、このブログを更新し続けるのであーる。
映画「パッドマン」の主人公の元になった人物、アルナチャラム・ムルガナンタム氏によるTEDでの演説の動画。
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