路上生活を違法とすれば、ホームレスは存在しなくなるのか?(ハンガリー)

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路上での習慣的な寝泊まりを「犯罪」にしてしまえば、ホームレスはいなくなるんでしょうか?

ハンガリー政府の推し進める、いわば「ホームレス撲滅キャンペーン」的な条項を盛り込んだ法案が物議を醸し出しております。

 

「ホームレスは逮捕。刑務所行き。そういう法律にすればいいじゃん?」っていうハンガリー政府の考え方に、人権団体大激怒。

CNN.co.jp : ハンガリーで路上生活が犯罪に、憲法の新条項発効

 

(CNN) ハンガリーで15日、路上で寝泊まりすることを違法とする憲法の新たな条項が発効した。「公共の場に習慣的に居住する」ことを禁じ、従わない場合は警察による強制的な排除や所持品の押収が可能となる。

ホームレスの人たちが路上などから退去して収容施設に入ることを拒否すると、公的な作業のプログラムへの参加を強制される。罰金を支払えば参加は免除となるが、支払いが不可能な場合、刑務所に収監されることになる。

 

実はハンガリーには以前から、ホームレスを弾圧するような取り組みはあったらしいですね。

今回の新たな条項は、それをさらにパワーアップさせたような内容らしいです。

 

物乞いの禁止、

路上での睡眠の禁止、

ゴミを漁ることの禁止、

みたいな感じで、

外堀を埋めていくような形で、数年がかりで、じわじわとホームレス包囲網を狭めていき、今回ついに、思いっきり「ぶっちゃけ、ムレスは逮捕ね!」みたいな。

 

う~~む……。

 

これ、どうなんですかねぇ~…。

 

「貧乏」は「罪」なのか?

みたいな声も上がってるようですしね。

国内外の人権保護団体は当然、抗議しているわけですが…。

 

いろいろ難しいね~。

不法移民対策、って側面もあるとかないとか。

 

「一番立場が弱い人、一番カネ持ってない人から、まずは締め上げていく、迫害していく」

ってやり方は、そりゃマズいんじゃないかってみんなが思うんでしょうけど、

「じゃあ、どうすりゃいいの?どうすればホームレスの人々は救われるの?」

って尋ねられたら、なかなか答えを見い出すのは難しいワケで。

 

う~~む……。

何が正解なのか。

どうすればいいのか。

難しい話です。

 

 

ハンガリー政府の言い分にも、耳を傾けてみるか。

まず、ハンガリーは路上生活者、めっちゃ多いんでしょうね。

国の人口で言うと1千万人にも満たない規模なんですが、今朝のテレビでは「ホームレスは推定3万人」って言ってたような。(諸説あるようです。)

 

不法に入国してきた難民とかの問題もあったりするみたいだし、

ちょっとね、

日本国内でのうのうと生きてる我々のようなゴリゴリの平和ボケボケ市民には、ピンとこないような気がします。

 

政府は13日、今回の条項について「社会全体の利益に資する」ものだと発表。政府の各機関はホームレスの人たちに対応するための場を十分確保していると強調した。

 

ハンガリー政府としては

「いやいやいや、十分にホームレスの立場になって考えてますよ。そのうえでの法律ですよ」

っていうアピールをしています。

 

なんかね~、トランプみたいっていうか、「お手付きは4回まで」みたいなルールだったはず。

「90日以内に4回、路上で寝ているところを警察に見つかると、試合終了」

みたいな話だったかな。

 

 

もう一回引用すると、

ホームレスの人たちが路上などから退去して収容施設に入ることを拒否すると、公的な作業のプログラムへの参加を強制される。罰金を支払えば参加は免除となるが、支払いが不可能な場合、刑務所に収監されることになる。

 

まずは収容施設(シェルター)行き

それを拒否れば、強制労働(公的作業)

それを拒否れば、罰金

それを拒否れば、刑務所

 

みたいな話のようですね。

ちょっと細かい話はよく分かりませんが。

 

「路上で生活すると、即ブタ箱き」って話でもないみたいなんですよね。

 

自分みたいな「キング・オブ・平和ボケ」的人間には、警察にとっ捕まった後、最初に収容されるシェルターで、死ぬまで過ごすのもアリだな、って思っちゃうんですが、どうなんでしょうね。

実際のシェルターって、もんのすごい地獄なんだろうか。

 

一応、シェルターでは、食事やシャワー、寝る場所があてがわれるらしいし、1日中過ごしていてもOKらしいんですけどねぇ…。

それにもかかわらず、脱走して、また路上生活に戻る人が大勢いるってことなのかな?

 

シェルター内の生活は、何の保証もない路上生活よりも苛酷ってことなのかな?

このへんがどうもよく分からない。

一番最初に収容されるシェルターが、そもそも刑務所レベルで地獄なんだろうか。

 

ハンガリー政府は、現時点で国内にホームレスのための収容施設が1万9000カ所存在すると主張。また今年は「困窮した人々の支援」に向けて91億フォリント(約36億円)の資金を拠出する計画だとしている。

 

ハンガリーの平均月収は円に換算すると手取りで5~6万らしいですから、そういった物価のこととか、経済の規模とか、もろもろ加味すると、けっこうな話だなって気もします。

 

ハンガリー政府の言い分だと、そんなに悪くない話なのかな?って感じもあるんですけどねぇ…。

実際どうなんでしょう。

こればっかりはハンガリーで実際にホームレス生活を体験してみないと分かりませんね。

 

「食事、シャワー、ベット付きでもマジ勘弁。路上の方がマシなんで脱走しまーす」ってなっちゃう収容施設って何なんでしょうか。

中でどんなことが行われているのでしょう。

 

 

結局、ホームレスを町の目立つ場所から追い出しただけでは、ホームレス人口は減らないんじゃね?

以前、日本でもありましたよね。

街なかのベンチを、めっちゃ寝にくい形にすれば、ホームレスはいなくなるだろ?っていう作戦。

 

「排除アート」っていうんですかね。

ホームレスが居を構えそうな場所に、一見アート作品っぽい障害物を設置する作戦。

何ともいえない、やるせない気持ちになるねぇ…。

togetter.com

 

これって、ホームレスがいなくなるわけじゃないよね。ただ、見えにくい場所に追いやっただけだもんね。

なにかこう、間違えているような気がしてしまう。

 

でもこれ、排除アートを批判することは、たやすくできても、

「じゃあ、ホームレスのために、お前は何ができんの?お前は何をするの?」

って問われたら、大半の人は何も答えられないんよね。

所詮他人事だと思ってるから、いろいろ言えるんであって。

 

口先だけで排除アートを批判することはできても、実際に自分の家の前にホームレスが住み付いて悪臭を放ち始めたら、警察に通報するわけじゃん。

自分自身のそういうズルさに気がついていないふりをして、綺麗事ばっかり言っててもしょうがないんよね。

 

これ、ホント難しい問題ですよ。

何が正しいのか、よく分からなくなってくる。

 

こういうの読むと、余計にね。

みんな偽善者だとは思わんけどさ。ホームレス経験者の意見。

anond.hatelabo.jp

 

自分は、「ホームレスのいない社会」も結構だけど、「ホームレスでも生きていける社会」のほうがもっとまっとうだと思っている。落ちこぼれる奴なんて、いつだって出てくるんだから。それらとうまく付き合って、やっていける社会のほうが、よっぽど健全だよ。

 

そうだね、ひとりも落ちこぼれのいない社会なんて、無理があるんよね。

そんなの言ってみればディストピアですよ。

 

落ちこぼれを排除するとか、落ちこぼれを生み出さない、って考えるよりも、

「落ちこぼれでも生きててOKな社会」

って方がイイよね。

これも、青臭い理想論なのかも知れないけど。

 

 

最後に、こんな話を思い出しました。未開の地の裸族、ロンドンへ。

かなり前にテレビで観た話なんだけどさ。

たしか、イギリスのテレビだったと思う。(かなりうろ覚えです)

 

「近代文明と疎遠な生活を送っているジャングルに住む裸族を、ロンドンの街へ連れてきて、びっくりさせよう!」

みたいな、ある意味、悪趣味な番組。

 

「どうよ、これ!クルマ、っていうんだぜ!」

「観てみろよ!超高層ビルだよ!」

ってさ、

裸族の人たちに、文明の利器を見せつけて、ドヤる、っていう企画。

(そもそも飛行機に乗せて連れてきてる時点で、裸族の人々は飛行機に一番びっくりしてる気もするが)

 

「おいおいおい、裸族の連中、目を白黒させてやがるぜ!痛快だな!」

って、ご満悦なイギリス人たち。

 

んで、そんな中、裸族の酋長が、ロンドンの道ばたで寝ているホームレスを見かけるわけ。

 

裸族の酋長「どうしてあの人は、道で寝ているんだ?」

 

英国人「あぁ、それは、あの人には家がないからだよ」

 

裸族「家が無い?ホントに?あの人だけ?」

 

英国人「あぁそうだ。あいつだけ家が無い。」

 

裸族「君たちは家を持っているだろう?あの人だけ家が無いのか?おかしいと思わないのか?」

 

英国人「(自己責任だ)・・・・・・」

 

裸族「あの人はキミと同じイギリス人だろう?同じ仲間だろう?なんとも思わないのか?」

 

英国人「・・・・・・・・・」

 

裸族「うちの村には、家が無い村人なんて一人もいないぞ!?イギリス人おかしくないか?」

 

英国人「・・・・・・・・・」

 

裸足「もしも家の無い村人がいたら、村中の全員で協力して、家を作ってあげるのさ。同じ村の仲間だからな!それが当たり前だ」

 

英国人「・・・・・・・・・」

 

 

な~んかね~、

このエピソードを目の当たりにした時にさ、裸族の社会の方がよっぽど洗練されて、先進的で、合理的で、住みやすい社会なんじゃないか?とか思っちゃったね。

 

 

我々現代人は、もはや、未開の地の部族のようには生きられない…のかもしれない。

家の無い人のために、みんなで家を作ってあげることなんて、できないのかもしれない。

人間は、どこでどう間違っちゃったんすかね。

それとも、これはまだ道の途中であって、この先には何か、皆が納得するような答えが待ってるんでしょうかね。

 

今朝のハンガリーのニュースを見て、そんなことを思いました。

生きるって難しい!