NHKスペシャル「人工知能 天使か悪魔か2018未来がわかる その時あなたは…」を観ました。
人工知能(AI)の進化と普及によって恩恵を受ける人もいれば、むしろその逆の人もいる…。
非常に興味深い内容でした。
NHKスペシャル | 人工知能 天使か悪魔か2018 未来がわかる その時あなたは…
人工知能の爆発的進化で、未来が正確に予測できるようになり、未来が未知のものでなくなろうとする今、どんな社会が到来するのだろうか。今、最も精度を増しているのが、犯罪予測である。アメリカ各地の警察では、続々AIを導入、大きく犯罪件数が減少している。AIの未来予測は自然界の不確実性も克服しつつある。衛星画像を読み取るAIの解析能力は、300メートル四方というピンポイントで、向こう48時間・15分ごとの正確な天気の予測を可能にした。損害保険会社は暴風雨、竜巻などによる損害を未然に防ぐことができるようになり、保険金支払い額を大きく減らしている。そして、究極の未来予測とも言うべき「人生の予測」も始まっている。AIは、人間が将来患う認知症、糖尿病などの病気、そして患者の余命も冷徹に予測するようになった。しかし、AIは、予測はするが、その根拠は示さないブラックボックスである。社会のルール、人生のルールを大きく変えるAIの未来予測の最前線を追う。
人工知能(AI)がかなり正確に未来を予知できるようになりつつある。しかし…
ちょっとビックリというか、半信半疑だったのが、AIが、これから起こる犯罪の時間と場所を高確率で特定できる、というもの。
「明日の午前中に◯◯スーパーマーケットで犯罪が発生します」
みたいなことを、予知するわけです。
んで、警察官たちも半信半疑なワケよ。
「えっ?」
ってなってる。
「あのへんは、治安そんなに悪くないはずだけど…?」
みたいな。
でもとにかく、AIが言ってるんだから、とりあえず行ってみよう、ということで現場に向かうんですけど、そこには案の定、というか、意外にも、というか、不審な車両が止まっているわけです。
それで、警官がその車を調べてみると、麻薬のにおいが…。
はい、AIのお手柄~、即逮捕~。
こういうことが、すごく増えているらしいんですよね。
AIの指示した場所に半信半疑で向かうと、そこで犯罪が起こる。
ケンカ、空き巣、車の盗難…。
どうして、そんなことが予知できるのかはよく分からんけど、とにかく、膨大な過去の犯罪データを分析して、これから起こる犯罪の、場所や時間を割り出している。
AIは、過去に起こった犯罪だけでなく、その時の天気や、周囲の店の営業時間、あるいはもっと関係なさそうなデータさえも加味して、未来を予測する。
こうなってくると、人間は、その根拠が理解できないわけです。
「何故、AIはそういう結論に至ったのか?」
を人類は理解できない。
分かっているのは、
「どうやらAIの言ってることは正しいようだ」
ということだけ。
もはや、そういうフェーズ(局面)に入ってきているとのこと。
半信半疑だろうと何だろうと、実際に成果を上げているもんだから、アメリカでは、犯罪捜査にAIを導入する警察が増えている、とかなんとか。
いや~、これ、怖いっちゃ怖いですね…。
何故か?を分からないまま、全面的に鵜呑みにして信用しちゃうってのは、完全に思考停止状態ですからね。
実際に、弊害が出ているケースも紹介していました。
将来、犯罪に関わりそうな人物を特定できるが、その人が被害者になるか加害者になるかまではAIには分からない。
人工知能AIがいうには、犯罪にかかわる確率の高い人物が、15%くらい、存在する、ということらしいんですが、
その15%の人々が、犯罪の加害者になるのか被害者になるのかは分からないんだってさ。
いや、なんかもう、意味分かんないじゃないですか。
被害者と加害者じゃ、立場、真逆じゃん。
でも、どっちになるかは予測できないんだって。
んで、警察でも「このデータどうしようか?」ってなって、
とにかく、
そのある種の「ブラックリスト」に載ってしまった15%の人々に、直接、会いに行って、警告することにしたわけです。
これ、微妙ですね~。
実際に、ある男性の元に、警察が警告しに来たケースを取り上げていました。
警官が言うわけです。
「あなたは近い将来、犯罪を犯すか、あるいは、被害を受ける側になる可能性が高いので、注意してください」
この「声かけ」、ある意味では、たしかに効果があると思います。
もしもこの男性が、これから悪いことをしようと企んでいた「加害者側」としたら、犯罪を取りやめるでしょうし、
「被害者側」だった場合でも、治安の悪そうな場所には行かないようにしよう、などと、考えるはずですから。
でもねぇ~。
この男性の場合、警察が警告に来たところを近所の住人たちに目撃されてしまいます。
ご近所さんたちに
「あの男は、何か悪いことを企てているんじゃないのか?だから警察にマークされてるんじゃないのか?」
って、いろいろ噂されるようになってしまいました。
完全に、犯罪者予備軍扱いです。
結局、その男性は、もうここにはいられない、といって、他の町へと引っ越すことに決めたそうです。
これ、怖いですね。
ある意味では、現代の魔女狩りです。
近い将来、AIに
「アイツは危険人物予備軍だ。いずれヤバくなる」
と言われた人物は、身柄を拘束される可能性だってありますよ。
その根拠なんて、どうでもいいんです。
AIが言ったか言わないかです。
こういうケースもありました。心臓移植の優先順位もAIが決める未来。
心臓移植を待ち望んでいる患者さんは大勢いますが、それに対して、心臓を提供してくれるドナーの数は限られています。
貴重な心臓を、誰に移植するのが最も効果的か?
そういうことも、人工知能AIの判断にゆだねられるようになりつつあります。
誰を助けた時に、メリットが最大になるか?
人間のように先入観を持たず、AIはドライに判断します。
番組では、AIに選ばれた患者さんとAIに選ばれなかった患者さんを紹介していました。
…ちょっと残酷。
67歳のロイドさんは、AIから、選ばれませんでした。
ものすごくストレートに言うと
「あなたに心臓移植をしても無駄(得るものが小さい)」
と判定されてしまいました。
心臓を別の人に移植した方が、効果が大きくなるはずだ、とAIは判断を下しました。
ロイドさんは当然、AIの予測結果に納得ができない。
また、逆の場合もあります。
ずっと心臓移植を断られていた70代の男性がAIからお墨付きをもらったケースです。
70代のチャールズさんは、心臓移植を待ち望んでいましたが、高齢なこともあり、何度も断られていました。
しかし、AIを導入している病院へ行き、人生が変わりました。
AIの判断では「心臓移植をするべき人」としての優先順位がかなり上の方だったのです。
まさに一発逆転、下剋上です。
チャールズさんは無事に心臓移植を終え、現在は孫と庭でバスケットボールを楽しめるほど元気に回復しています。
う~~む……。
こういう風に、ドライに、情に流されず、人間にマルとかバツをつけていく人工知能…。
はっきりと、人間を数値化し、その命の重さにも優劣があることを示すことさえ、実を言うと可能なはずですが…。
それをやっちゃう未来が、すぐそこまで来ているとすれば…。
・・・・・・・・・
う~~む……。
人間ひとりひとりに得点が与えられて、各自の存在価値に優劣があることが明るみに出た場合、世の中はどうなっちゃうのかな。
まぁ、今現在でも、様々な場面で、人は値踏みされ、品定めされ、点数を付けられ、合格だったり、不合格だったりしてますが…。
これ、おそらくね、現時点でも「人間個人の価値」なんか、数値化できるんだと思うんですよ、やろうと思えばね。
なんというかな、陸上で「十種競技」ってあるじゃないですか。
100m、
走幅跳、
砲丸投、
走高跳、
400m、
110mハードル、
円盤投、
棒高跳、
やり投、
1500m
十種目のトータルで、誰が優れているかを競う競技ね。
んで、おそらく人間の価値って、たった10個の要素で決まるわけないんだけど、十種競技じゃなくて、
「千種競技」、「万種競技」って感じで、膨大なデータを加味していってさ、AIはおそらく、判断できると思うんですよ、ひとりひとりの点数を。
お金をいっぱい持っているか?
容姿が優れているか?
頭脳明晰か?
老人に席を譲るか?
はじけるような笑顔か?
ゴールド免許か?
脱いだ靴はちゃんと揃えるか?
うっかり者か?
健康で長生きができるか?
さまざまな要素を数値化し、比較し、解析し、人間の価値を割り出す。
言ってみれば、助けるに値する命かどうか、その優先順位をハッキリさせる。
例えば、地球規模の大洪水に見舞われた時に、誰を優先的にノアの箱舟に乗せるべきか。
そういうことも、AIが判断するでしょう。
いわゆるパニック映画、ディザスタームービーとか、私結構好きなんですけどね「全員を助けることができない」って場面で、どう判断するか、誰を優先的に救助するか、ってのは、毎回、なかなか興味深いです。
ある映画では、お金持ちから順に救助してたり。
また別の映画では、政府関係者の家族から優先的にシェルターに入れたり。
あるいは、ランダムにくじ引きで決まったり。
おそらく、実際に「地球滅亡だ~」ってなった時には、科学者とか、芸術家とか、スポーツ選手とか、その辺から先に、脱出カプセルに搭乗できるんじゃないかと思います。
まぁいずれにせよ、
私は、最初の隕石で吹っ飛ばされるモブキャラ止まりなんでしょうけど。
AIに支配されるディストピア、見たいような、見たくないような…。
この先の近未来が気になります。