実はこんな感じのツイートを見かけたのです。
『村上春樹の小説には、好きな作家の新刊本を徹夜で並んで購入するような「非・村上春樹」的な人物は絶対に登場しない。』
ということは、あのフィーバーは、どういうことなのでしょうか…?
書店の行列に並んでいるのは一体、誰なんだ!?
まさか、ハルキストの仮面を被ったアンチ・ハルキストのしわざ…!
・・・・・・
これは…村上春樹殺しだ…。
私はよく分からないのです。村上春樹、通称ハルキさんの魅力が…。
私の中にうごめく何かが、全身全霊で、村上春樹(通称ハルキさん)を拒絶するのです。
ちなみに「ハルキ」のイントネーションは、平坦な感じでお願いします。
出だしの「ハ」にアクセントを置く
ハルキ
ではなく、
もっとぶっきらぼうに、就活に失敗した無気力な若者を装いつつ、抑揚をつけずに
⇒ ⇒ ⇒
ハ ル キ
でお願いします。
私は、なにかこう…得体の知れない、恐怖を感じるのです。
ハルキさんに対して。
しかしですね、
今、その理由がなんとなく分かったような気がしています。
つまりこういうことだったんじゃないでしょうか…?
本題に入る前に、カミングアウトしておきます。私はハルキさんの作品、短編しか読んだことが無いんです。
あまりにも自分の中の「リトル俺」がハルキさんを拒絶するもんですから、実はいまだに、ハルキさんの作品と真正面から対峙したことはございません。
私が読んだのは短編だけです。
名作「カップ焼きそばの作り方」ね。
おいしい作り方
- きみがカップ焼きそばを作ろうとしている事実について、僕は何も興味を持っていないし、何かを言う権利もない。
- 勝手に液体ソースとかやくを取り出せばいいし、容器にお湯を入れて三分待てばいい。その間、きみが何をしようが自由だ。
- 読みかけの本を開いてもいいし、買ったばかりのレコードを聞いてもいい。同居人の退屈な話に耳を傾けたっていい。悪くない選択だ。
- ただ、一つだけ言いたい。
- 完璧な湯切りは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。
何これ。
4.ただ、一つだけ言いたい。
が、いい味出してますね。
これもカップ焼きそば作りの正式な行程としてカウントすべきなんでしょうね、隠し味的に。
【インフォメーション】
認識の誤りがありました。
これはハルキさんの短編ではなく、菊池良さんのツイート
もしも村上春樹がカップ焼きそばの容器にある「作り方」を書いたら。
でした。
ようするに私は、「村上春樹」がなんたるかを知らないのです。
読んだことが無いから。
言うなれば「ハルキ童貞」。
チェリーボーイなのです。
ハルキさんのことを何一つ分かってないくせに、自分が傷つく事を恐れて、ハルキさんの懐に飛び込んでいけない、ただの「いくじなし」なのです。
ずいぶんと脱線しているような気もするし、していないのかも知れない。話を最初に戻すか。何故、並ぶの?死ぬの?
何を言ってるのか自分でも分からなくなってきたので、原点回帰。
一番最初の話に戻しますね。
様々な情報から察するに、
好きな作家の新刊が発売されるからといって、前日の夜から徹夜で本屋の前に並ぶなんてのは、シャレオツな村上春樹的には「絶対にナシ」という行為なんですよね?
「THE・スタイリッシュ」な村上春樹の美学に真っ向から反するコミカルさ。
ハルキさん本人なら死んでも参加しないというその祭りに、喜々として飛びつく熱狂的な村上春樹ファン、通称「ハルキゲニア」。もとい「ハルキスト」。
これはいったい、どういうことなんでしょうか。
この地球上でもっとも村上春樹を崇拝しているはずの「徹夜で行列ハルキスト」が、実は地球上でもっとも村上春樹的美学とは縁遠いライフスタイルを実践しているというパラドックス…という認識でよろしいんでしょうか?
ハルキさん本人はどう考えているのでしょうか。
「わ~~恥ずかしいことするの、やめちくりー!」
って感じなんでしょうか。
ハルキさんの胸中を察するに、複雑なものがあるような気がします。
この感じ…どう例えたらいいんでしょう…?
例えばですよ、
サルのマークでお馴染みのオシャレブランド「A BATHING AP◯(ア ベイシング エイ◯)」の洋服を大御所コメディアンの志村け◯が超絶ヘビロテで着まわしてるところをエイ◯の創業者のNIG◯がどんな目で見ているのか?
みたいな「みぞみぞ感」と近いものがあるんじゃないでしょうか?
NIG◯的には大丈夫なんでしょうかね?
「だっふんだ!」ってなってませんかね?
ちょっと分かりにくいですかね?
え~~と。
そうだ。
例えを変えましょう。
深夜にコンビニに行くと、いるじゃないですか。
上下だらしないスウェットを着用しクロックスを履いてる、髪の毛を脱色しすぎてキューティクルが皆無な若人たちが。
でね。
彼ら若人が、コンビニでアイスとかを買って、お会計をする時にですよ。
おもむろにとり出す財布が
LとVのモノグラムのマークでお馴染みの超高級ブランド「ルイ・ヴィトン」だったりするわけです。
その時に偶然、
お忍びで日本を訪れていたヴィトンの社長とか偉い人がその光景を目撃した場合、どう思うかですよ。
「ワーイ!YATTA!YATTA!」
ってなるんですかね、ヴィトンのCEO。
「アジアノ片隅ニマデ、ヴィトンガ浸透シテル~!YES!」
って大喜びするのか、
「貴様ラ小市民ガ、気安ク、ヴィトンヲ所有スンナ!コノ糞ガ!」
って激怒するのか。
いや、分かりませんよ?
私が「深読みしすぎ」兼「発想がネガティブすぎ」なだけかも知れません。
実際には、全て私の取り越し苦労なだけかも知れません。
ヴィトンのCEOは日本の観光を満喫し、
志村け◯とNIG◯は「だいじょうぶだぁ~」な状況で、
村上春樹は書店の前の深夜の行列に温かいまなざしを向けているのかも知れない。
ハルキさんは「やれやれ」とは思っていないのかも知れない。
はっ!思い出した!村上春樹への拒否反応の原因はコレかも…!
そろそろ締めくくろうと思っていたんですが、とっさに思い出しました。
どこかで見かけたんです。
村上春樹の小説に登場する童貞は、いとも簡単に、超絶スタイリッシュに、カッコよくチェリーを卒業する。だからハルキ作品は好きになれないんだよ。
…みたいな意見。
それで私は思ったのです。
実際の童貞は、不安だし、緊張するし、上手くミッションを遂行できないはず。
四苦八苦して、変な汗をかきながら、失敗を重ねつつ、無様に、みっともなく、大人への階段をのぼっていくはずっ…!
だったらそれを余すところなく、描き切ってこそ「本当の人間賛歌」なのではないか!!
表面的な「シャレオツ感」なんて、ただ虚しい。
人間の無様さから目を逸らさず、真正面からがっぷり四つに組んでこそのノーベル文学賞受賞!!!
そうだろ?ボブ・デュラン!!
ボブ、答えてくれ!風に吹かれてる場合じゃないぞ!
もう雰囲気だけで押し切ろうとしています。
まったく収拾がつかなくなってきてますので。
(ちなみに私はボブ・デュランが何者なのかもよく分かっていません)
※
この記事は村上春樹氏をディスる気持ちで書いたわけではございません。
そもそも、読んだことが無いのでディスりようもありませんので。
ただ、一つだけ言いたい。
完璧な湯切りは存在しない。
完璧な「村上春樹 評」も存在しない。
完璧な絶望が存在しないようにね。
勘違いしてる人がいるようなので、ちょっと追記しておきましょうかね。
まず私個人としては「徹夜で並んで商品を購入する行為」自体に対しては、なんら否定的な感情は持っておりません。
全然アリです。
むしろ、うらやましいくらいです。
それだけ熱くなれる対象があるって事ですからね。
全然、問題ありません。
私が言ってるのは、
村上春樹氏本人が、この「反村上美学的な祭り」をどう捉えているのか?を想像すると、みぞみぞする
っていう話なんですよね。
私の個人的な視点ではなくて
「ハルキ本人の視点」からだと、この現象がどう見えているのか?
という部分が気になったので、そこに言及してるわけです。
ついでに言っておくと、
もしも村上春樹がカップ焼きそばの容器にある「作り方」を書いたら。
を書いた菊池良さん自身も、ハルキストですからね!
(たしか村上春樹作品を全て読んでる)
決してハルキさんを貶めるつもりで書いてるわけじゃないんですよ。
勘違いして、脊髄反射的に「ディスられたー!!」って激怒している人がごくごく僅かですがいるようなので。
一応、追記ね。