小説「レールに沿った人生にサヨナラ」
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西暦2XXX年…日本はフリーランスの炎に包まれた…。
大学生のI田 Uキは叫んだ。
「ぼくは、レールに沿った人生なんて、まっぴらピラスケなんだよ!」
飼いならされた家畜同然の友人たちは口々に言う。
「お前も、みんなと同じ道を歩めよ。護送船団方式が心地いいぜ!」
「そうだよ。お前だって古き良き『THE・ジャパニーズ』の血が流れてるんだろ?」
「オレたち農耕民族は、和を尊び、多数派におもねることを信条として、ここまで頑張ってきたじゃないか!?」
しかし、I田の決意は固かった。
今までの人生、さんざん周囲の意見に翻弄され続けてきた…。
親、兄弟、親戚、近所の人、学校の先生、ソフトバンクにいるペッパーくん…。
あらゆる他者からの干渉を受け、自分を捻じ曲げて生きてきた。
しかしだ。
そうやって生きてきた18年間で、ぼくは一体、何を得たというんだ?
薄気味悪い作り笑顔が上手になっただけじゃないか!?
本当に思っていることを口に出せず、顔にも出せず、これが自分の人生だなんて言えるのか?
こんな生き方、まっぴらだっ!
まっぴらピラスケなんだよ!
ぼくは決めたんだ!
絶対に!
大学に!
4年間、通うぞ!!!
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西暦2XXX年、日本全土を覆った「フリーランス」という名の黒い影…。
もはや「大学」は、教育機関としての機能を果たしておらず、単なる踏み台に成り下がっていた。
日本の大学生の約89パーセントは、大学を中退し、フリーランスという名のブロガーへと華々しく転身。
街には、フリーランス、そしてブロガーが溢れかえっていた。
ちなみに、残りの11パーセントの内訳。
- 何らかの家庭の事情(経済的?)で4年間大学へ通う…3パーセント
- 無回答…8パーセント
大学はすでに、ブログを開始すると同時にバズるための、単なる1ステップでしかなくなっていた。
「初バズは大学中退ネタで!」
これはもう、合言葉のように、ブロガーにとってはごくごく当たり前のセオリーとなっていたのだ…。
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そんな中、I田は独り、疑問に思っていた。
フリーランスだと?
ブロガーだと?
ふざけんじゃねぇ。
そんなレールに沿った人生なんてうんざりだ。
ぼくは、決めたんだ。
例え誰に何と言われようとも、絶対に、大学に、4年間通うぞ!
イバラの道へと踏み出したI田…。
その先に、何が待ち受けているのかは誰も知らない。
PS
西暦2XXX年、大学を中退したブロガーの約7割がキャンピングカーに住んでいることは言うまでもない。
(残りの3割はNEOハイパー・リ〇バ〇邸在住)
一歩踏み出した若者へ。
この歌を捧げます。
自分の人生だ。
好きに生きりゃいいよ(^^)
※ネタにマジレスは無しでお願いします~