映画レビュー『ハドソン川の奇跡』を観た感想(クリント・イーストウッド監督 トム・ハンクス主演)
広告
観てきました。
映画『ハドソン川の奇跡』。
クリント・イーストウッド監督・製作
トム・ハンクス主演
基本、ネタバレ?なしで行きたいと思います。
映画『ハドソン川の奇跡(原題「Sully(サリー)」)』ってどんな映画?
まずは映画のトレイラーっていうのかな(予告編?)、こちらの動画をどうぞ。
監督クリント・イーストウッド×主演トム・ハンクス
155人の命を救い、容疑者になった男。2009年1月15日、極寒のニューヨーク上空850メートル。155名を乗せた航空機を突如襲った全エンジン停止事故。
160万人が住む大都会マンハッタンの真上で、制御不能の70トンの機体は高速で墜落していく。
サリー機長は機体を必死に制御し、目の前のハドソン川に着水させ乗員乗客155名全員無事に生還させる。
それは事故発生からわずか208秒の事だった。着水後も浸水する機内から乗客の避難を指揮した機長は国民的英雄として称賛される――はずだった。
だがその裏側では彼の判断をめぐり国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われていた…。
誰が“奇跡”を裁くのか。 世界を震わせる真実のドラマが幕を開ける。
監督:クリント・イーストウッド(『アメリカン・スナイパー』『硫黄島からの手紙』)
出演:トム・ハンクス(『ダ・ヴィンチ・コード』『フォレスト・ガンプ/一期一会』)、アーロン・エッカート、ローラ・リニー他
配給: ワーナー・ブラザース映画
ものすご~く簡単に言うと…
上空でエンジンが止まっちゃった飛行機が、墜落を免れるために一か八か、ハドソン川への不時着水を試みたわけね。
これが実は、めちゃめちゃ難しいことらしいんだけど。
機長の神がかり的な操縦テクニックのおかげで、奇跡的に一人も死亡者を出さずに見事に軟着陸…いや軟着水できたわけね。
それで、新聞なんかのメディアが
「チェスリー・サレンバーガー機長は英雄だ!」
「サリーすげぇ!マジリスペクト!」
って報道するんだけど…。
国家運輸安全委員会(NTSB)が言うわけ。
「ちょっと待って。本当に腕のある機長なら、確実に最寄りの空港に戻ってこれたケースなんですけど!これ、機長の過失なんですけど!」
さぁ!真実やいかに!?
これ、実話をかなり忠実に再現してるらしいです。
……面白そうでしょ?
ネタバレしたくないので、本筋と関係ない部分に言及してみます。描かれていた「パニック状態の乗客の行動」について。
乗員乗客、全部で155人も乗ってたんですよね。
この飛行機「USエアウェイズ1549便」。
それだけの人数がいれば、中には、パニック状態になる人も出てくるわけです。
飛行機自体は無事にハドソン川に不時着水できたんだけど、避難する時に、無茶なことをしでかす人が約数名。
おそらく、この描写も、実際にあったエピソードを再現してるんじゃないかと思います。
いざという時こそ、いっそう「冷静な判断」が大事ですね。
私は割と、飛行機が落ちたらパニくるような気がするので、肝に銘じておきたいと思っています。
パニックになった「やり手のビジネスマン」の場合
いや、実際に仕事が出来る人だったのかどうかは分かりませんけど。
便宜上、稼いでるリーマン、ということにしておきましょう。
なんなんでしょうかね、この人。
自分に自信を持っているのかな。
自力でハドソン川を泳ぎ切ろうとしちゃいます。
(>_<)!!
1月の話なんですよ。
ゴリゴリの真冬。
他の乗客たちは飛行機の翼の上でガチガチ震えて凍えながら救助を待ってるわけですが、このサラリーマンは、川に落ちた後、飛行機の方ではなく、向こう岸の方へ泳ぎ始めちゃうんです。
途中で「これは無理だ」って気づいて、引き返してくるんですけど、ホント、ギリギリ溺れる寸前。
ハドソン川がそのまま三途の川になるところでした。
危ないところですよね。
死者ゼロだったはずの事故が、無鉄砲なリーマンの遠泳チャレンジによって、死者1名とカウントされてしまうところだったんですから。
教訓
- たとえ泳ぎに自信があっても、真冬の遠泳は危険。
- 高級ワイシャツと高級スラックスだったとしても泳ぐときは脱げ。
パニックになった「太ったおばさん」の場合
2人目のパニッカー?は、太ったおばさんね。
こちらのおばさんは、そもそも、救命胴衣を着用せず、片腕を通しただけなんですよね。
ハンドバッグじゃないんだから。
大らかすぎるでしょ。
ちゃんと身につけましょう。
もしかすると太り過ぎで救命胴衣が着用できなかったのかもしれませんが…。
そして…
この太ったおばさん、「飛行機から燃料が漏れだしてる!」と思ったとたんパニックに。
しかし、飛行機の翼の上ですからね、逃げようもないんですけど。
もう正常な判断が出来なくなって川にドボン。
今度は溺れ始めます。
こうなってくると、なぜ事前にちゃんと救命胴衣を着用しなかったのか?ってのが悔やまれますね。
何事も雑な仕事っぷりの人はそれだけで命取りになるということでしょうか…。
太っているので浮力がめっちゃあったのか、なんとか救助隊の到着まで浮かんでいることは出来ましたが、危ないところでした。
教訓
- 救命胴衣が着れないほど太るべきではない。
- 「救命胴衣なんて片腕だけ通してなんとなく持ってればいんじゃね?」はダメ。
- 真冬の川に飛び込むと超冷たい。
- 街なかだと、割と早く救助隊が到着する。(ヘリコプターで)
- 皮下脂肪が多いと水に浮きやすい。
- ぜい肉だらけだと保温効果が満点。
結局、「映画自体が面白かったか?つまらなかったか?」といえば…
あくまでも、私の個人的な意見です。
つまらなくはないです。
私の場合は
「おもしれ~!」
というよりも、
「今回もイーストウッドだなぁ~!!!」
っていう感じでしたね。
クリント節が炸裂してる、という感じでしょうか。
私が持っているクリント・イーストウッド監督のイメージと言えば、何といいましょうか……
「骨太」
って感じなんですよね。
小手先のテクニックを駆使したり、奇をてらったような真似はしない。
愚直に「THE・俺」を貫いてるというか。
あえて言うなら、私はクリント・イーストウッド監督の作品は、それほど好きではありません。
ただ、
クリント・イーストウッドという漢(おとこ)のことは、めちゃめちゃ好きなんですよね。
「人間・クリント」にはめちゃめちゃ興味があるわけです。
凄い漢ですよ、イーストウッド。
クリント・イーストウッド監督の生き様、信念、哲学が超絶かっこいい件。
本当のことを言うと、一番書きたかったのはこれね。
イーストウッドの生き様。
以前、新聞で読んだんですよ。
クリント・イーストウッドのインタビュー。
「ミリオンダラー・ベイビー」の頃だったと思うので、たぶん10年以上前だと思う。
たしか、こんなようなことを言ってたんだよなぁ。
(うろおぼえ)
オレは、チャラいガキどもに媚びてまで映画館を満杯にしたいとは思っていない。
オレはオレのやり方を貫く。
オレはオレの創りたい作品を創る。
こう言う風にズバッと言いきっておいて、実際には映画館を満杯にしちゃってるんだよな~。
なんなの、このカッコよさ。
ハッキリ言って、クリントには、もはやカネなんてどうでもいいんですよ。
一生分、稼いじゃったから。
ギャラとかそんなの、どうでもいいんです。
そんなもののために生きてないし創ってない。
たぶん。
じゃあ、何のために映画撮ってんの?って言ったら、
自分の中にある無尽蔵に溢れ出てくる創作意欲に突き動かされて、我慢しきれずに映画撮りまくってるワケ。
バカみたいなペースで映画撮ってるでしょ。
かれこれ20年くらい?もっとかな。
年に1本くらいのペースで延々と映画、撮ってる。
ヘタすると常に数本の映画の撮影を同時進行で行ってるんじゃないかな?
知らないけど。
いま86歳だって。
バケモノか。
オバケか。
「創りたい」っていう欲求が衰えることを知らない怪物。
興行収入を意識して、薄っぺらい若者にもウケそうな映画を撮ろうという気持ちが一切ない。
もちろん、イーストウッド作品を好きだという若者もいっぱいいると思うけど。
クリントが言うのは、
中身が無くて短絡的で薄っぺらい者、
映画にメッセージ性なんて求めていない、ただ過激な描写だけを欲している者。
結局は人生の毒にも薬にもならない消費されるだけの映画を求めている者。
そういう連中に媚びを売ることはオレは絶対にしない、って事なんだよね。
普通、こういうこと言いきっちゃうと、独りよがりで、採算の取れない自己満足な映画を撮りそうな気がするけど、クリント・イーストウッドの場合はそうじゃないんだよなぁ。
結局、己を貫いてるのに、お客さんは入るし、賞も獲るんだよなぁ~。
なんなの。
・・・・・・神?
あとね。
もうひとつ言っておくと、クリントは若い頃「イケメン俳優」として活躍してた人なわけ。
日本で言ったらトレンディ俳優?みたいな扱いだったんじゃないかな。
アイドル的な人気というかな。
演技派というよりも、ルックスの良さがウリの、薄っぺらい、中身の無い役者、っていう目で見てた人たちもいたと思うんだよね、当時。
たぶんそれ、すごく葛藤してたと思うのよ、イーストウッド自身は。
勝手な憶測だけど苦しんだと思うんだよね…。
おそらくですよ。
チャラい若者向けの薄っぺらい仕事もこなしてきたんでしょう。
そうやって大衆に支持されて、すごい人気者になって。
でも、本当は、自分のやりたいことはこういうことじゃない、ってずっと思ってたんじゃないかな…?
その時の思いが、今、クリント・イーストウッドに映画を撮らせているんじゃないかな?って。
私は勝手に思ってるんですがね。
まぁそんなこんなで。
クリント・イーストウッド本人に惚れ込んでいる私にとっては、映画の出来とか、あんまりどうでもよくて。
いつも感じるのは、
「今回もクリントらしいな。全然ブレねぇな。やっぱマジリスペクトだなぁ」
っていうことなんですよね。
つ~ことで。
今回紹介した『ハドソン川の奇跡』。
クリント・イーストウッド的な、何者にも媚びない、骨太な漢(おとこ)が好きだという方にはオススメです!
長くなっちゃいましたね。
ご清聴ありがとうございました。
自分に出来る事を自分のやり方でコツコツと続けていく。それだけ。
— ネコ師匠@自由ネコ (@gattoliberoTW) 2016年7月17日
世渡りが上手い人は周囲の顔色を伺ってスイスイと生きていけばいいけど不器用な人は、誰かの真似なんてしなくていいよ。
他人を気にせず自分のやり方を貫け#自由ネコの中の人 pic.twitter.com/t9kPJiCgDM