「しゃべくり007」チュート福田に見る第3ゴールキーパーの悲哀
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みなさん「しゃべくり007」観てます?
ネプチューンの名倉、泰造、ホリケン、くりぃむしちゅーの有田、上田、そして、チュートリアルの徳井、この6名のお笑い芸人と、観覧希望者の中から唯一選ばれた普通の人・福田充徳なる人物の計7名が繰り広げる、捧腹絶倒のしゃべくりバラエティー番組です。
えっ?違う?福ちゃんも芸人なの?
桁外れのパワーを持った「お笑い超人たち」がひしめく中、唯一、生身の人間でありながら戦うチュート福田。その姿…ジェロニモか!
そういえば昔、「キン肉マン」っていうマンガ、あったじゃないですか。
もしかして今でも連載、続いてんのかな?
「へのつっぱりはいらんですよ!」っつってさ。
んでさ、キン肉マンに登場する連中は、基本的に「超人」なワケよ。
なんだったら、みんな、そもそも地球人じゃないんよね。
宇宙人だったりするワケよ。
キン肉マンも実は、地球から500億光年離れた「キン肉星」出身ですからね。
テリーマンとか、ロビンマスクとか、み~んな「超人」なんだけどさ、「ジェロニモ」
っていうヤツだけが、実は「超人に憧れている単なる人間」なんすよね~。
元は超人に憧れるだけの人間でありながら、超人に負けないほどの不屈の根性と精神力を持つ。
略
作者のゆでたまごは、読者から「僕も超人になりたい」というファンレターがたくさん来て、親近感を持ってもらえるようにジェロニモを登場させたと語る。超人の中にひとり人間を入れ、頑張れば人間でも超人に勝てるという物語を描きたかったという。
ジェロニモは、超人たちの中に混ざってしまえば、大したことない。弱っちい存在なんです。
しかしね、冷静に考えてみてください。
人間でありながら超人たちと戦える、ってのは、とんでもなく驚異的な強さなわけですよ。普通の人間なら瞬殺されますから。
分かり易く言うと、ジェロニモは、みんながゴリゴリにドーピングしてる大会で、ひとりだけ薬物を使わずに戦っているようなもんなんです。
ジェロニモ、あんたスゲーよ!
作者のゆでたまご先生が
「超人の中にひとり人間を入れ、頑張れば人間でも超人に勝てるという物語を描きたかった」
と語ったように、もしかすると「しゃべくり007」のスタッフたちも、同様の想いを持っていたのかも知れません。
「頑張れば君も芸人になれるよ!」というメッセージとして、
福田 充徳(ふくだ みつのり)という、いわば「ジェロニモ」を番組にキャスティングしたのかも知れません…。
ん?
もしかすると、これって「キャプテン翼」の石崎君とかね、「スラムダンク」の小暮君とかね、そのへんのキャラが担っている役割も、同じなのかも知れませんね。
何故、しゃべくり007では、チュート福田の影が薄いのか?いや、何故、実質、消えているのか?
これねぇ~、ホント、気の毒っていうか。
チュート福田の「役割」が、「無い」んですよね。
ものすごく簡単に言うと、日本のお笑い(特に漫才とかコントとか)って、役割分担がハッキリしてるわけですよ。
オレはボケ担当、お前はツッコミ担当、みたいなね。
ある意味、それが王道というか。
最近のお笑いは、あえてそういう伝統をぶっ壊すタイプもどんどん出てきてますけどね。
「笑い飯」みたいに、ボケとツッコミを延々と交代し続けるとか。
あるいは、
ボケに対して誰もツッコまない、っていう形とかもありますよね。
今この瞬間も、どんどん、新しい形のお笑いが生み出されています。
んで、漫才コンビ「チュートリアル」に関して言えば、いわゆる伝統的な、明確な役割分担がまだ残っているスタイル、徳井がボケ、福田がツッコミ、という、ある意味、オーソドックスなスタイルなワケです。
チュート福田の仕事は「ツッコミ」だったわけです。
ここまではよろしいでしょうか。
問題は「しゃべくり007」の布陣です。
「しゃべくり007」には3人も「ツッコミ」がいる!そして序列で言うと福ちゃん3番手
「しゃべくり007」は7人中、元々の役職で言えば3人が「ツッコミ」担当なワケですよ。
ネプチューンの名倉、くりぃむの上田、そしてチュートリアルの福ちゃんね。
んで、
まぁ大概、番組の進行役ってのは、ツッコミの人が担当するわけです。
芸歴とか、年齢とかで言うと、名倉が序列の1位かもしれんけど、まぁ、司会進行とか、もろもろの力量とか実績とか考えると、くりぃむ上田が、番組を回すことになりますわなぁ。「MC力」とでもいいましょうか。
んで、もし仮に、上田の都合が悪い場合は、進行役を名倉と交代、って感じだと思うんですよ。名倉は控えの選手的な。
実際、福ちゃんも、居場所無さげだけど、実は名倉もけっこう、消えてる時間帯長いんよね。
ボケの連中が、次々と波状攻撃を仕掛けてくる中で、進行役の上田が的確にツッコミを返していく。
そんな中、本来ツッコミの名倉と福田は、どうやってボケて、斬り込んでいけいいのか、非常に悩ましいわけですよ。
もともとボケ担当じゃないし。
ボケのプロたちに交じって、アマチュアが、同じクオリティのボケを繰り出せるのか?
っていうと、相当難しい。
実際、しゃべくりは、そうそうたるメンバーですからね。
有田、ホリケン、泰造、徳井…。
怖いですよ。
彼らはプロ中のプロですからね。
ツッコミマンが付け焼刃の技術でボケたおしても、太刀打ちできるはずがない。
んでさ、こうなってくると、長年「ツッコミの人」として生計を立ててきた名倉と福田は、番組に参加できなくなっちゃうんだけどさ、
名倉に関しては、泰造とかホリケンとかが、気を利かして話を振ってくれるんだよね~。
「潤ちゃん潤ちゃん」っつって。
そして名倉も、数少ないチャンスをちゃんと活かして、爪痕を残してる、って感じだと思うんです。
ノリツッコミみたいな手法を用いたり、強引に大声と勢いで押し切ったり、無茶ブリとか、もらい事故みたいな案件を、なんとか笑いへと変換しているわけです。
ところが、なかなかねぇ…。
福ちゃんの場合、技術的な問題というか、腕が無いというかねぇ、おそらく、周りから絶好のトスを上げてもらっても、上手く活かし切れなくて、オンエアで没になってんじゃねぇかな…?って気がするんだけど、どうなんでしょうかね。
最初はさ
「なんで福田に話を振らねぇんだ?完全に消えちゃってんじゃん!」
って思ってたのよ。
「徳井!相方なんだから、もっと話を振ってやれよ」
とか。
でも、おそらく、そうじゃなかった。(と思う)
急に話を振られても、笑いの瞬発力が無いと、活かせないんよね。
福ちゃんもおそらく、一生懸命に番組に参加しようと思ってるだろうけど、じゃあチャンスを的確にモノにできるか?っていうと、それとこれとは別問題でさ、
頑張ってしゃべっても、その部分は全カット、みたいなことになってんじゃねぇのか?
って気がしてきたんよね。
福ちゃんのところにトスがこないんじゃなくて、トスが来ても決められない、結果、オンエア無し、ってのが真相なのかな、って気がしている今日この頃です。
(トス自体は、みんな、福ちゃんに上げてくれてると信じたい)
上田、名倉に次ぐ、第3ツッコミのチュート福田は、まるでサッカーの第3ゴールキーパーのようだ
サッカーってさ、ゴールキーパー(GK)のポジションって非常に特殊じゃないですか。
替えがきかないというか。
他のポジションの選手でも簡単に出来るってわけじゃない。
だから、ワールドカップの時とか、大抵のチームは、ゴールキーパーを3人、選出するんですよね。
ある意味、保険をかけて、っていうか。
控えGKがふたりいる、ってことね。
第1GKが怪我をしたら、第2GKと交代する。
そのうえで万が一、第2GKも怪我をした場合は第3GKが出場する、という感じかな。
でもねぇ、そんなこと、まずないのよ。
第3GKって、ほぼほぼ、出場機会、ないんよね。
メンバーに選ばれても、実質、ピッチに立つことは無いと言ってもいい。
もちろん可能性はゼロではないけど、限りなくゼロに近い。
ましてや、第1と第2が、全盛期の川口能活と楢崎正剛だったときの絶望感ね。
これもう、第3、絶対出番まわってこないじゃん。
川口が試合でポカするでしょ?
そうすると、次の試合は先発GKが楢崎だったりするわけよ。
んで、正ゴールキーパーの座を楢崎が射止めたかな?って思ったら、怪我したりして。
そうすると、GKは川口が返り咲きですよ。
そんな感じでさ、ず~~っと、川口、楢崎、川口、楢崎、のローテーションで、GKが回ってた時期、けっこう長かったんよね。
その時の第3ゴールキーパー、どんな気持ちで試合に臨んでいたのかな…って。
もうね、私が第3GKだったら、完全にやさぐれてますよ。
「どうせオレには、出場の機会は与えられねぇんだ。試合前に、ポテチとか食ってやる!なんか体に悪そうなもの、食いまくってやる!」
ってね、意味不明な反逆の狼煙を上げていると思います。
全然、試合前のストレッチとかも真面目にやらない。
そのくらい、第3ゴールキーパーって、モチベーションを保つのが難しいし、メンタルが強くないとできないと思うんですよね。
はっ!
(◎_◎;)
逆に言うと、「しゃべくり007」のチュート福田は、ものすごくメンタルが強いってことかも知れない…!
福ちゃん、あんたスゲーよ!
・・・・・・・・・
などと、私は思ったりするのです。
「しゃべくり007」のひな壇にひっそりこっそり鎮座している福ちゃんを観ていると、試合に出場できる可能性がほぼゼロの第3ゴールキーパーを思い浮かべてしまうのです…。
なんという哀愁…。
福ちゃん、ストレスで飲み過ぎんなよ!