稀勢の里が、再起をかけて臨んだ初場所で初日から3連敗。
ついに…ついに、引退を決断しました。
これはもうどうしようもないっていうかね、勝負の世界なんで。
横綱ってのは本来、勝って当たり前のポジションですし、稀勢の里だけ特例ってわけにはいきません。
勝てない以上、引退はやむなしかと。
しかしこれ、どうしてこんなにこじれちゃったんでしょうかねぇ…。
大相撲の横綱 稀勢の里が現役を引退することになりました。稀勢の里の引退で19年ぶりに誕生した日本出身の横綱がわずか2年で不在になります。
さかのぼって考えてみると、そもそも、稀勢の里を横綱にするのが早すぎたんじゃないだろうか。(日本人横綱待望論の弊害か?)
詳しい裏事情とか全然分かりませんが、おそらくね、「横綱・稀勢の里」の誕生前、相撲界の内外で「一刻も早く日本人横綱を!」って願う声が、たくさんあったと思うんですよ。
ずいぶん長く、横綱はモンゴル勢で占められていましたからねぇ…。
大半の場合、人種差別的な意識は無かったと思うけど、やっぱね、「日本人の横綱」を待ち望んでいた相撲ファンのおじいさんおばあさんとかさ、結構いたと思うんすよね。
んで。
そこへ登場したのが稀勢の里ですよ。
これねぇ~…。
稀勢の里の横綱昇進が決まった直後から、賛否両論あったようですねぇ…。
「まだ早いんじゃないですか」っていう声もあったようだけど日本人横綱を待ち望んでいた大勢の人々の声にかき消されてしまったというか。
「横綱昇格のための条件」ってのがあるわけだけど、稀勢の里の場合は、ちょ~っとねぇ、オマケしてもらった感があるんすよね。
本来であれば基本的には「大関で2場所連続優勝」しなければ、横綱にはなれないわけですよ。
特例があるとすれば「2場所連続優勝」に匹敵する成績だと判断された場合ですね。
(稀勢の里は年間最多勝が評価された)
それで、稀勢の里はどうだったかというと、初優勝で横綱昇進と。
これ、ちょっとフライング気味な気がすんのよね…。
もうちょっと待って次の場所の結果を見てから判断してもよかったんじゃないか、って気がしますね。
もし仮に当時の稀勢の里に横綱レベルの実力があるとするならば、次の場所でも優勝か、あるいは優勝争いをするでしょうし。
そうすれば、文句なしで、横綱昇進できたのにね。
おそらく周りが焦ったんでしょうね。
「今このタイミングで稀勢の里を横綱に昇進させないと、もしかすると次のチャンスはないかも知れない…。どうする?やっちゃう?昇進させちゃう?させちゃおう!はい、日本人横綱誕生!」
みたいな。
なんか、よく言われてるらしいのが「稀勢の里はプレッシャーに弱い」っていう話とかね。
いや、ほんとかどうか知らんけども。
初優勝後に「次の場所で優勝すれば横綱だよ!」って周りから言われると、勝てなくなるんじゃないか?そして結果的に横綱昇進のチャンスを棒に振るのでは?って。
そういう懸念があったからこそ、どさくさにまぎれて「いいよいいよ、2場所連続優勝じゃなくても横綱に昇進させちゃおうよ!」って声が上がったんじゃないかと。
まぁ勝手な憶測ですが。
その辺がまず一点。
長らく日本人横綱が不在だったがために、稀勢の里に変な重圧がかかったんじゃないかと。
それは「周囲からの大きすぎる期待」っていう部分も含めてね。
稀勢の里の真面目な性格や、「オレはガチンコだから」っていう信念による難しさもあったのかも知れない。
稀勢の里は、横綱になる以前、ほとんど休んでないそうです。
かぎりなく皆勤賞レベルで、休まず相撲を取り続けた。
これ、おそらく、ちょっとやそっとの怪我なら、我慢するのが当たり前、みたいな考え方だったと思うんですよね、稀勢の里の中で。
もしかすると、「怪我で休場なんてのはありえない」くらいのスタンスで臨んでいたのかも知れない。
だとするとだ。
横綱昇進後、左胸付近(左大胸筋と左上腕二頭筋)の大怪我をした時に、その後の対処を完全にミスった可能性、高いですよね。
あれはもしかすると、すぐに休場すべきだったのかも知れない。
それほど、危険な状態だったのかも知れない。
ところが。
プライドなのか、真面目さなのか、大きすぎる周囲の期待に後押しされたのか、稀勢の里は怪我をしたまま翌日以降も強行出場し、奇跡の優勝を遂げる。
もしかするとこの優勝は、選手生命というか力士生命と引き換えに手に入れたということなのかも知れませんね。
事実上、稀勢の里は、この大怪我以降、終わってしまった。
休んでも休んでも完治する気配はなく。
復帰しても調子は上がらず、数日後にはまた休場。
「来場所こそは…」と言いつつ、出場、負け、休場と、同じことの繰り返し。
ちょっと話がずれるけど、稀勢の里は以前から「オレはガチだから」みたいなことを豪語していたらしい。
これ、平たく言うと「オレは八百長はしない。真剣勝負だから」って事らしいんだけど、ということはさ、まぁぶっちゃけ「ガチ派」と「ガチじゃない派」が存在してる(あるいは、していた)という意味でもあるんよね、おそらく。
貴乃花なんかは現役時代「ガチ派」だったから、「ガチじゃない派」から目の敵にされて、いろいろ苦労したみたいだし、だからこそ、同じガチ派として今、稀勢の里のことをすごく応援していた、って話もチラホラ。
昔は、星の貸し借りっていうかさ、お金払って勝ち星を買う事も出来たらしいんよね。
7勝7敗の力士は、最後は勝って(買って?)8勝7敗で勝ち越す、みたいな。
勝ち越しと負け越しでは大違いだからさ。
まぁとにかく、
「そんな八百長、あるわけないでしょ!少なくとも今現在では、根絶されてます!」
っていうテイで現在の相撲界は成り立っておりますので、力士には「ガチ派」しか存在していない、ってことになってるんでしょうけどね、表向きは。
そのへんをどう判断するかは人それぞれでいいと思うんでね、星を買えるのか買えないのか、信じるか信じないかはあなた次第です、って話なんですけど、
いずれにせよ、稀勢の里の言う「オレはガチだから」っていう発言ね、周りに敵を作ることになったんじゃないかな…って気がするんですよね。
他の力士(とりわけガチじゃない派)の方々にとって稀勢の里は、非常に邪魔な存在だったんじゃないかと。
「稀勢の里ってぇ~、空気読まないで、マジで来るから超~ウザくね?」
って、裏で言われていたかもしれませんね。
いや、知らんけども。
ガチだから、真剣勝負だからこそ、稀勢の里は生きづらい、って部分もあったんじゃないかと思うんすよね…。
稀勢の里が、真面目で、不器用で、筋を通す男だったからこそ、
信念を曲げなかったからこそ、こんなことになっちゃったんじゃないかと。
なにはともあれ、稀勢の里関、本当~~にお疲れ様でした。
横綱になって以来、ずっとしんどかったと思います。
今はゆっくり休んで、リフレッシュしてくださいネ。
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