人生の良し悪しなんて最後の最後まで、棺桶に入るまで分からない

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先日、NHKで「ボルトとダシャ マンホールチルドレン20年の軌跡」を観ました。

親に見捨てられ、マンホールの穴の中で生活する子どもたちに密着した壮絶なドキュメンタリーです。

20年に渡って彼らの生活を追い続けたからこそ知ることができた「人生のドラマ」がありました。

 

壮絶。BS1スペシャル「ボルトとダシャ マンホールチルドレン20年の軌跡」

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「1998年のモンゴル、ウランバートルには、親に見捨てられたストリートチルドレンが、たくさんいました。壮絶ですね。気の毒ですね。可哀そうですね。」

っていう、それだけの話じゃないんですよね。

 

彼ら浮浪児たちが、その後どうなっていくのか?ず~~っとカメラで追い続けたってのが、すごい。

だってさ、20年ですよ?

20年間、特定の人間の生涯を追い続けるって、何気にとてつもないことですよ。

 

ましてや、連絡手段もない住所不定の子どもたちです。

数年後には、行方不明になっていたとしてもおかしくない。

何か犯罪に巻き込まれて、死んでるかも知れないし、刑務所に入ってるかも知れない。

 

そういった子どもたちに20年間もカメラを向け続けたって、すごくないですか?

いや、すごいよね。凄い番組でしたよ。

 

なんかもう、思わずうなっちゃったね。

「う~~む…人生って最後まで分からんもんだよなぁ…」って。

 

高層ビルが立ち並び、急激な経済成長を遂げるモンゴル・ウランバートル。その片隅で、貧困から這い上がろうともがき続ける2人の男がいる。ボルト33歳、ダシャ34歳。彼らは親友。


20年前の1998年、ウランバートルには、親に見捨てられ、マンホールから地下にもぐって寒さをしのぎながら生きる「マンホールチルドレン」があふれていた。ボルト(当時13)とダシャ(当時14)もそこにいた。互いに助け合いながら懸命に生きていた。


2004年、職を得たボルトは自力で小さな家を建てた。ダシャもそこに居候、2人はマンホールからの脱出を果たす。そして、ボルトは同じマンホールチルドレン仲間の女性・オユナと結婚、娘をもうける。未来は希望に満ちていた。


2008年、オユナは娘をつれてボルトの元を去り、同じくボルトの家から出たダシャのねぐらに身を寄せていた。ボルトとダシャの仲は決定的に壊れてしまう。次第に酒の量が増え、生活もすさみ、再びマンホールへと転落するボルト。


それから10年、2人はいまどこで何をしているのか。オユナと娘はどうなったのか。20年にわたって彼らにカメラを向け続けてきた迫真の密着ドキュメントが遂にクライマックス。再び絆を取り戻した2人が、ようやく見つけた一筋の光とは?

 

NHKドキュメンタリー - BS1スペシャル「ボルトとダシャ マンホールチルドレン20年の軌跡」

 

 

どの部分を切り取って見せるかで印象は良くも悪くもなる。人生なんて本当は最後の最後まで分からんもんだよ

マンホールチルドレンの2人、ボルトとダシャに密着したのは、スタッフの運が良かったのか、人を見る目があったのか…。

というのも、ボルトも、ダシャも、人間として非常に魅力的というか、いわゆる「根はイイやつ」なんだよね。

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ストリートチルドレンたちは基本的に、万引きみたいな、ちょっとした窃盗を繰り返す生活をしていたと思う。

生きるために、多少は悪いこともやったと思う。

 

可能性としては、ボルトとダシャが、途中で道を大きく踏み外す危険性もあったと思うんですよね。

薬物の売買なり、反社会的勢力の一員になるなり、とてもじゃないけどNHKのカメラは密着できない、という展開も大いにあったと思うんですよ。

あるいは、

早い段階で刑務所に入ってしまったり、最悪の場合、病気や事故などで死んでしまったりとか。

そして、もしもそうなってしまった場合は、密着終了じゃないですか。

んで、じゅうぶん、その可能性はあったんだけど、結局なんだかんだで、ボルトもダシャも、ある意味、スクスクと育ってくれた。

途中、めっちゃくちゃ紆余曲折あったけどね。

 

 

というのもさ、先日、「知床のヒグマの子どもたちに密着」っていう番組を観たのよ。

これも、数年がかりで、長期間密着する番組だったんだけどさ。

ヒグマの子どもたちって、生き延びるの大変みたいでしたよ。

次々と死んでいくんだよね。

弱ければ、自分の縄張りを持てないんよね。

そうすると、食料を確保できない。

餓死しちゃうんですよ。

んで、最後に生き残っていた密着対象の若いヒグマも、食べ物を探し求めて町に降りてきちゃって射殺されて終わりですよ。

番組が密着していた子熊たちが全員死亡。

ということで番組が終了しちゃうっていう。

なんというバッドエンド。

 

私、そういう番組を観ちゃった後だったからさ、余計に思うわけよ。

ボルトもダシャも、立ち直ってくれてよかった。生きてくれてよかった、って。

 

 

 

とはいえ、ボルトとダシャの人生も、途中経過の時点では、全く救いの無い状況だったりもしたわけで。

「マンホールチルドレン」は、1998年放送の『日曜スペシャル マンホールチルドレン 混迷するモンゴルからの報告』を皮切りに、過去、3度にわたって番組化されてきた。

 

『ハイビジョンスペシャル マンホールで大人になった 再訪厳寒のモンゴル』(04年放送)では、とうとうマンホールから脱出し、希望に溢れる生活を送っていたボルトだったが、『ハイビジョンスペシャル 10年後のマンホールチルドレン』(08年放送)では、母と妹、妻と娘、親友ダシャとの友情、これらを全て失い、再びマンホールに転落する姿で番組が終わった。

 

この番組をご覧になった視聴者から「夢も希望もない終わり方だ。是非、続編を作り彼らが再生して行く姿を見たい」といった反響が多く寄せられた。

 

 

2008年の時点では、ボルトが家族や友人すべてを失い、またマンホールでの生活に逆戻りし、アルコール依存症で廃人のようになっちゃってるわけよ。

これはもう、終わったな、人生終わったな、っていう、どん底まで堕ちちゃってんのよね。

ボルトはこのまま、マンホールの中で死ぬんだろうな、っていう。

 

番組がここで終わっていたら、

「やっぱ、マンホール出身者は幸せにはなれないんだね…可哀そうに」

って話になっててもおかしくないんですよ。

 

そしてね。

もっと言うと、

2008年よりもさらに前の段階では、ボルトとダシャの境遇が逆だった時期もあったんですよ。

ボルトが職にありつき、家を建て、母親と妹を呼び寄せて。

無職のダシャを居候させてあげて。

どうみても、ボルトが勝ち組で、ダシャが負け組、みたいに見える時期もあったんですよ。

その後のボルトの転落を放送していなければ、「仕事も家族も得たボルトは幸せ者」「無職のダシャは不幸せ」という印象のまま終わっていたと思うんです。

 

でも、人生ってホント、分からない。

ある一瞬、幸せそうに見えている人でも、その後はどうなるのか、誰にも分らないんですよね。

長い人生、幸せに生きて幸せに死ねるかどうかなんて、誰にも分からないんですよね。

 

 

人生は、良いこと悪いことのつづら折り。一場面だけを切り取って判断はできない

密着開始から20年後。

行方不明だったボルトの消息が判明した。ボルトは立ち直っていた…!

その後のボルトを追跡するも行方不明のまま状態であった。

 

ところが、最初の取材から20年目の昨年春、ある人物から「ボルト」と「ダシャ」は生きている、との情報が寄せられた。

 

早速、コーディネーターに調査を依頼すると「ボルトは、数年間アルコール依存症施設で隔離されていたが、今はタイヤ修理工場を経営している、ダシャは、廃品回収の腕を見込まれ区の職員として働き、4人の子供の父親になっている」という明るい調査報告が届いた。


彼らが<絶望>の中から、どのように<希望>を掴んでいったのか?20年の軌跡を辿りながら、今を見つめる視点で企画を進める事になった。

 

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ボルトは、数年間アルコール依存症施設で隔離されていたが、今はタイヤ修理工場を経営していた!

ダシャは、廃品回収の腕を見込まれ区の職員として働き、4人の子供の父親になっていた!

そして何より、

一度は途切れたボルトとダシャの友情は復活し、続いていた!

 

感動的な話ですよ。

 

ボルトはアルコール依存症から立ち直り、必死に勉強して資格をとり、親切丁寧で評判のタイヤ修理の店を始めていました。

それだけではなく、ボランティアで、ストリートチルドレンに声をかける「夜回りおじさん」のような活動もしていました。

感動!!

 

そして、ダシャも定職にありつき、家族と幸せに暮らしていました。

感動!!

 

そして何より、ふたりで連れ立って、小学校低学年レベルの国語を学べるクラスに通っていた!偉い!(マンホールの中で育った彼らは、30を過ぎた今でも、読み書きが少し苦手なんですね…)

 

 

この20年、ホント、死ぬほどつらいこともあっただろうけど、ボルトもダシャも、よく耐えた!あきらめずに再起した!よくやった!ありがとう!

 

 

番組プロディーサーからひとこと。

【見てくださる方に一言】
親に捨てられ傷だらけの2人が、友情を育みながら貧困から抜け出そうとするが、様々な困難が押し寄せ挫折。友情さえも壊れてしまう。しかし、彼らは豊な心で友情を復活させ、自ら家庭を築き明日に向かって一歩を踏み出してゆく。その姿は私たちに勇気と希望を与えてくれる。

また、同じテーマを20年にわたって取材するドキュメンタリーなど、ほとんど存在しない。しかも、彼らは、いつのたれ死んでしまってもおかしくないような、モンゴルの最底辺に生きる、もとマンホールチルドレンである。まさに奇跡ともいえる20年の映像記録が持つ力強さを、是非、心ゆくまで味わって欲しい。

 

 

とはいえ、ボルトの人生も、ダシャの人生も、これで終わりじゃない。まだまだ続くのである。そして我々の人生もだ

今、人生のどん底にいる人も、

今、人生の頂点にいる人も、

この状況が果てしなく続くわけではないと、あらためて実感できる番組でした。

 

最後の瞬間まで、棺桶に入るその瞬間まで、人生の良し悪しなんて誰にも分からないんだよね。

 

例えば、地位も名誉も手に入れた大富豪が、豪邸に住んでたとしてさ。

そこへ強盗が押し入ってきて、大富豪が惨殺されちゃった場合、その富豪の人生を「良い人生だった」と言えるだろうか。

 

例えば、一流企業で名誉顧問を務め、勲章まで授与されたことのある老人が、プリウスで歩行者の列に突っ込んだ場合、老人の人生を「良い人生だった」と言えるだろうか。

 

ホントね、一寸先は闇ですよ。

良い人生だったかどうかなんて、死ぬ直前まで分からんのよ。いや、死んでから分かるものなのかも知れないね、人生の価値や意味なんて。

 

だからさ、ボルトの人生も、ダシャの人生も、本当のところは「ハッピーエンド」かどうかなんて、まだ分からないんだよね。

追跡調査を今後も続けないと、本当のところは誰にも分らない。

 

さて。

 

ひるがえって、自分自身の人生はどうなんだ?って話ですよ。

他人はともかく、自分の人生はどうなんだろうか?

 

今はちょうど、イイ感じかもしれないし、全然ダメな時期かもしれない。

でもいずれにしても、それが永遠に続くわけじゃない。

それだけは、頭の片隅で覚えておかなくちゃね。

 

「安心すな!心配すな!」

ですね。

 

私ねぇ~、相方の通称「大福さん」とケンカするたびに思うんですよね。

もしこのまま、ケンカした状態のまま、大福さんが交通事故とかで亡くなったら、自分は一生後悔するんだろうな~って。

毎回ケンカする度に思うんです。

私はケンカしながら大福さんが死んだ時のことを考えてるんです。

 

ケンカしたまま、その険悪な雰囲気のまま、それが2人にとっての最後の瞬間になっちゃったとしたら…?もう二度と会えないとしたら…?って。

めちゃくちゃ後悔するんじゃないかな~って。

 

 

そうすると、一刻も早く仲直りした方がいいな、って思えますからね。

 

ケンカした時は相手が死んだ時のことを想像する。これ、おすすめです。

相手の大切さが身に染みて分かりますんで。

(もし仮に何も感じないとすれば、そもそも人生において不必要な人間関係だった、ということかも知れませんがw)

 

 

一応、なんとなくまとめておきますか。

私も、思い返せば「人生つらいな~どん底だな~」ってトータルで20年間くらいは思ってましたね、余裕で。

でもね。

今、めちゃくちゃ楽しいんですよ、生きてて楽しい。(今までが酷かったから、幸せのハードルがめっちゃ低くなったってのもあるけど)

 

まぁとにかく、こんな展開、どん底時代には全然、想像もできなかったですよ。

ホント、人生って全然、分からない。見当もつかない。

見当つけてても外れまくる。

 

だから今、「人生しんどい」って思ってる人も、あと10年、20年、粘ってみてはどうでしょうかね。他人の人生に責任は持てませんが、「ずっとどん底」ってのも、なかなか続かないはずなんでね。

 

あとね、

まだ10年、20年しか生きてないのに、勝手に世を儚んじゃって、人生を諦めちゃうってのは、ちょっと早すぎるんじゃないかな?って気はします。

おそらく、これから気づくことって、山ほどあると思うんでね。

この先、良いこと悪いこと、いろんなことに気づきますから。

そこに「生きるヒント」があると思うんでね。

 

だってさ、孔子でさえ「四十にして惑わず」って言ってますからね。

歴史に名を残すような偉人でさえ40歳までは惑ってるわけですよ。

だったら凡人の私たちが、10代20代30代で、何かを掴めるって考える方がオカシイのよ。

40で何かを掴めたら、偉人レベルの歴史的偉業ですから。

普通は一生、何も掴めないまま、惑ったまま死ぬんですよ。それでOKなんよ。

 

どうでしょうか、こんなもんで。

まとまったでしょうか。

まとまってない?

まぁいいや、どっちでも。

先は長いんでボチボチでいいよね。

 

 

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