いや~、面白かったですね!那須川天心と堀口恭司の一戦!
日本の格闘技界を引っ張る両雄が、ルールの枠を飛び越えて対戦するという夢のカード。
ちょっとだけ2004年の魔裟斗・KID戦を思い出しました。
完全に相手の土俵「キックボクシングルール」で闘って、あの強さ!堀口恭司、やっぱすげぇな!
堀口恭司は、総合格闘技(通称・MMA)の選手です。
「総合」の文字通り「何でもあり」です。
それに対して
那須川天心は、基本的に「キックボクサー」ですからね。
格闘技に興味が無い人だと「似たようなもんだろ?」って思うかもしれませんが、そもそも、種目が違いますからね。
ルールが違う。
ガチで闘うのはありえないわけですよ。
分かり易く言うと、
将棋の棋士と、チェスの選手が闘うようなもんです。
そもそも無理なんで。
どうしても闘う、っていうんなら、どういうルールで闘うのか、お互いに主張して、お互いに妥協して、すり合わせていくしかありません。
でもね、
必ず、どちらか一方が圧倒的に有利になるんですよ。
将棋の名人とチェスのチャンピオンが、将棋で対戦する。
・・・・・・・・・
これなら、将棋の名人が勝って当たり前です。
将棋の名人とチェスのチャンピオンが、チェスで対戦する。
・・・・・・・・・
これだと当然、チェスのチャンピオンが勝って当たり前になる。
今回の那須川・堀口戦は、完全に那須川寄りの「キックボクシングルール」で行われました。
キックの王者・那須川にとっては、完全に通常営業。
そして、
MMA選手の堀口にとっては、初めての経験です。
これ、ちょっと無理があるんすよね。
堀口が圧倒的に不利なんです。
普通に考えたら、はじめてキックボクシングで闘う「キック初心者」が、「キックルール」で、「キックのチャンピオン」に勝てるわけがないんですよ。
実際、那須川は
「自分の(キックボクシング)ルールで闘ってくれたことに感謝します」
って言ってますし、
逆に堀口は
那須川とMMA(総合格闘技)ルールで対戦することに関して「(経験値が違い過ぎて)相手にならない。面白くない」
と語っています。(だから自分が譲歩しないと試合が成立しない、っていう意味ね)
堀口の土俵「MMAルール」で対戦すれば、総合格闘技のノウハウをほとんど持っていない那須川は、どうあがいても堀口には勝てないんですよね。
勝つとすれば、一撃必殺、立ち技のみで決着をつけるしかない。
グラウンド(寝技)の攻防に持ち込まれたら、キックで培った技術は全て役に立たなくなりますし、那須川は、寝たままの状態で打撃や絞め技を防ぐ方法を知らないので、百戦錬磨の堀口に簡単に極められてしまうはず。
相手がどういう手を繰り出すのかを知らなければ、防御法も分からないし、対策を立てることも出来ないんで。
長々と書いてきましたけど、ようするに。
今回の試合は、堀口にとっては負けてもともと、那須川にとっては絶っっっ対に勝たなくてはならない試合だったんですよね。
キックのチャンピオン那須川が、キック・ド素人の堀口に、キックルールで負けることは、当然、許されなかったわけで。
ところが。那須川有利だと思っていたけど、いざ蓋を開けてみると、けっこう互角っていう展開。
堀口は楽しんでましたよね~。
キックボクシングの試合は「初めて」の堀口は、失うモノなんて何もないし。
そもそもキックボクサーじゃないから。
あきらかに、ファンサービスですよ。
格闘技界を盛り上げるために、一肌脱いだ、って感じで。
試合中も、きわどい打ち合いになった時は、堀口、笑ってましたよね。
「面白くなってきたぜぇ~~!!」
みたいな感じで。
それに対して、那須川の顔。
あんなに真剣で、殺意に満ち溢れた、鬼気迫る顔の那須川を観たのは初めてかも知れない。
目がもう、ヤバかったね。
想像をはるかに超えて、堀口が強かったんでしょうね。
本職のキックボクサーでも見切るのが難しい那須川の打撃を堀口は紙一重でかわすし、受け止めるし。
さらには、総合の選手ならではというか、大振りのフックくらいしかバリエーション無いと思うんだけど、それを那須川の顔面に当ててくる堀口のスピードと打撃センス。
話によると、世界レベルのボクサーのパンチをキックボクサーが避けるのは相当難しいらしいです。
そして逆に、キックボクサーのパンチは、ボクサーにとっては余裕で避けられるとかなんとか。
(ボクシングは「パンチ」に特化した技術が異様に進化してる)
ボクサーとキックボクサーの間には、そのくらい、パンチの技術に差がある。
ということは、
キックボクサーと総合格闘家の間にも、打撃の技術には相当の差があるはずなんです。
総合の選手が、数週間や数か月、立ち技の道場に通ってトレーニングを積んだところで、所詮は付け焼刃に過ぎない。実戦ではほぼ機能しないと言っていいでしょう。
そのくらい「打撃の技術」ってのは、奥が深くて、スキルを身につけるのも容易ではないし、センスや才能も大事だってことだと思うんですけど、
初めてキックボクシングの試合をする堀口が、キックのチャンピオン那須川と互角にやり合うって…。
・・・・・・・・・
堀口は…なんなんすかね?バケモノ?
堀口選手のバックボーンに「空手」がある、って話なんだけど…
今回の試合の後
「空手が通用すると思った。オファーがあればまたキックの試合をやるかも」
って言ったらしいですけど、「空手の技術で戦ってる」っていうよりも、天性の勘とか、センスとか、身体能力で圧倒してるような気がしますね。
(堀口の構えは空手っぽいけど)
山本KID徳郁も、デビューした時点で何故か打撃が異常に強かったけど、バックボーンは「レスリング」だもんなぁ~。背景、関係なし。
(レスリング出身の選手は打撃イマイチな人が多いよね?顔面を殴りあうことに慣れていない)
KIDは天性の打撃センスを持っていたと思うんだけど、堀口もそのタイプだと思うんだよね~。もともと持っていた能力というか。
でもまぁ、アレだね、今のご時世「空手からMMAに転向」とか「レスリングからMMAに転向」とかじゃなくて、
「いきなりMMAから始めました」っていう、人材もどんどん出てきてるんじゃないかな~。
バックボーンがMMA(総合格闘技)っていう、新時代の選手たちが。
とにかく!日本のスポーツ界、格闘技界、もっと盛り上がってほしいね!
どんどん、新しいスター選手が誕生してほしいです!
那須川天心選手にとっては、今回の堀口戦、勝って当たり前、負ければとてつもなく大きなものを失うっていう、本当にやりづらい、神経が磨り減る試合だったと思います。
「初めてプレッシャーを感じた」
というようなことも言ってましたし、精神的にキツかったと思いますよ。
ここまでのプロ格闘家人生、ほぼ危なげなく、圧倒的な勝利を積み重ねてきた那須川にとって、相当の山場だったと思います。しんどかったと思います。
でも、乗り越えた。難しい試合に勝利した。
本当によくやったと思います。
那須川はまだ20歳だし、これからまだまだ強くなる!
もっともっと、とてつもない伝説をつくってくれるはず!
超~~期待です!
最後に。
青木真也選手が「那須川天心vs堀口恭司」について結果予想含めて語っている動画を発見したんで一応、貼っておきましょう。
相変わらずというか「性格の悪さ」みたいなものが滲み出ていて、「これぞ青木の真骨頂!」という感じがしますね~。THE・青木らしさ。
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