「上沼恵美子さん!M-1審査員辞めないで~!」という意見をチラホラと見かけたんで、ちょっと書きます。
サッカーとかだと「審判が選手よりも目立っちゃ駄目だろ!」っていう話はよく聞きます。
私はM-1もそうだと思うんですよね。
審査員が、ネタを披露する芸人以上に話題を集めてるようでは、その大会って失敗なんじゃないですか?
昨日、上沼、志らく、巨人は、審査員卒業してもいいんじゃない?って記事を書きましたが…
昨日ね、書いたわけなんですけど。
その後、こんなニュースが飛び込んできました。
上沼恵美子、M-1審査員引退を宣言 「むしろ(出場者として)出たい」 : J-CASTニュース
なんと。
上沼恵美子さん、審査員を引退宣言。
「私みたいな、こんな年寄りがね、ポンっと座って偉そうにしている場合ではないんですよ。だからもう、私は引退します。いや、審査員やん。審査員は引退しますけど。むしろ(出場者として)出たいですね」
いや、この英断自体は見事だと思いますよ。立派。
ベストなタイミングでしょう。
美しく、潔い引き際だったと思います。
正直、カッコイイです。
んが、しかし。
この「えみちゃんの審査員引退宣言」のニュースに対して、
「上沼さん、辞めないで!」
「えみちゃん、審査員を続けて!」
的なね、上沼恵美子師匠の審査員続投を希望する意見が、SNS上でけっこうチラホラと見受けられたんですよね。
それで私は非常~~~にモヤりまして。
ちょっと黙っていられなくなりましたので、言及したいと思います。
そもそもだ、上沼擁護派は、M-1の何を観てんの?漫才に興味無いだろ?ネタに興味無いだろ?お笑いに興味無いだろ?
まぁね、そういう「お笑いライト層」も取り込んでこそ、M-1グランプリの繁栄があるってのは私も思いますけどね、それを把握したうえで、あえて言いたい。
「ぶっちゃけ、お笑いに関しては、そんなに興味ないんだよねー」
っていう方々にとっては、上沼方式、ありでしょう、志らく方式、ありでしょう。
でも、ちょっと待ってくださいよと。
審査される側の芸人にとっては、たまったもんじゃねぇんだよ。
芸人さんたちから苦情殺到ですよ。
そりゃそうだよ。
M-1の舞台は売れない芸人にとっては一世一代の大勝負なんだよね。
真剣勝負なんだっっつーの。
放送後、決勝7位となったスーパーマラドーナの武智は、和牛の水田やとろサーモン(2017年優勝)久保田と居酒屋で過ごしていたようで、その動画をインスタライブで配信。すぐに削除されたが、保存したネットユーザーがネットで拡散し、波紋を広げている。
動画では、主に久保田が、ある審査員への不満を明かしている。だいぶ酒を飲んだのか酔っている久保田は、「酔ってるから言いますけど、そろそろもう(審査員を)やめて下さい」「自分目線の、自分の感情だけで審査せんといてください」「お前だよ、一番お前だよ。わかんだろ、右側のな」と吐露。久保田は相当、腹に据えかねていた様子で、「“私は好き~”とか言い出し(て点数に差をつけ)たらさぁ」と机の足を蹴る。
審査員席で一番右側に座っていたのは、関西の女帝・上沼恵美子である。動画撮影者である武智は「言うた! 右のオバハンや。いや右のオバハンにはみんなうんざりですよ」等と相槌。映像には写らないが別の芸人も「いや“暗いのよ~”とか言われても、明るかったらおもろいんかって思いますよね」と同意する。
武智「“嫌いです”とかって言われたら、更年期障害かって思いますよね」、久保田「“私も歳やからわからへん”って、知らんで」と、それぞれにくだをまいた。
上沼恵美子に暴言か「更年期障害かオバハン」 M-1審査後、とろサーモンやスーパーマラドーナら芸人苦情 - wezzy|ウェジー
とろサーモンの久保田は苦労した時期も長かったから、余計に感情移入しちゃってるようですね。
売れない芸人の必死さとか、M-1優勝後の人生の激変とか、両方知ってる人だから、そりゃ、平常心ではいられないでしょう。
ああいうふざけた審査は許せないってのも分かる。
「たしかに放送終了後、芸人仲間たちの間ではLINE上で上沼さんのコメントについて、『どうなのよ?』と批判が出ていました。
略
実際に決勝の舞台に立っている当人たちとしては、感情が高ぶっている分、神経を逆撫でされた気分になったのでしょう。LINEでは『上沼を追放すべきだ!』みたいなコメントをしている芸人もいて、久保田さんの発言を擁護して結構盛り上がっているようです。
上沼擁護派は、ちょっと考えてみてくださいよ。
もしも自分が、就職の面接に行ったとしてさ。
(もうすでに10社、落ちてるとして。11社目の面接だとして。)
ババアの面接官に
「あなたのこと、なんか嫌いやわ~。(でも公平に面接しますけど)」
とか
「私は、隣にいる子の方が好きやわ~。(でも面接とは別物だけど)」
とか、
思いっくそ、私情をはさんだクソコメント言われたらどうよ?
「面白い面接官だな~。ほっこり♪」
で済むわけねぇだろ。
こっちは人生かかってんの。
真剣勝負なの。
M-1グランプリの出場者の中には、10年、15年、必死にお笑い頑張ってやってきて、やっと掴んだ日の目を見るチャンスだ、っていうコンビも少なくないんだよ。
分かってんのかな。
上沼式の審査を面白がれるってのは、ようするに、ネタを披露する芸人側に感情移入してないってことでしかないんじゃねーの?
もしも自分が審査される側だったとしたら、どう思うんだ?って話なんですよ。
「どうせ他人事」って思ってないと、えみちゃんの続投を支持はできないだろ。
自分が芸人だったら、絶対に上沼恵美子にジャッジされんのはイヤだけどな~。
芸人がネタをやる前に「◯◯が好き」とか「◯◯は嫌い」とか、印象操作をゴリゴリにブッ込んでくる審査員なんて、最悪だよ。
公然とえこひいきするとか、頭オカシイよ。
あれやってバッシングされないって思ってたんだとしたら、浅はかすぎだろ。頭悪すぎ。
ナチュラルに罪悪感無しでパワハラする上司みたいなもんだからな。
冒頭にも書いたけど、サッカーとかだと「審判が選手よりも目立つような試合は総じてクソ試合」なんだよな~。
先日も、圧倒的に酷い試合がJリーグでありましたけどね。
前代未聞。ロスタイム19分って何よ。
大荒れ清水―神戸戦…ロスタイム19分、GK同点弾あり乱闘&ぶん投げあり スペイン紙も騒ぎを報道 : スポーツ報知
これも、審判のレベルが低すぎて、試合をコントロールできなかった結果なんすよね。
審判が選手よりも目立つ試合って、ほぼほぼ、どうしようもない試合なんだよね。
誤審だったり、えこひいきだったり、ファールの基準があいまいだったリ。
本来裏方であるはずの審判が、試合をぶち壊しちゃうケース、多々あります。
でね、ある意味では、M-1グランプリも同じだと思うんですよ。
審査員が番組終了後の話題をかっさらう必要は無いんだよね。
裏方に徹してくれればそれでいいんよ。
立川志らくみたいに、なんとかして爪痕残そうとするイキッた駆け出しの若手みたいな審査員、いらんのよ。
たとえば。
アイススケートの「審査員」が、羽生結弦選手よりも目立ってしまった大会があったとしたらどう?
その大会、グダグダな可能性ない?失敗に終わってると思わない?
羽生選手を食ってしまうような、目立ちたがりの審査員がいたら、それはそれで面白いっちゃ面白いだろうけど、その状況を面白がれるのって、アイススケートファンじゃないんよ。
生粋のアイススケートファンなら、選手よりも目立つ審査員を面白がることはできないんよ。
何を見に来たのかって言ったら「アイススケート」を見に来てるわけだから。
これはね、
「アイススケート」を楽しもうとしてるか、
単純に「ハプニング」を楽しもうとしてるか、
スケートファンか、あるいは、別にスケートに興味無いか、
その違いなんすよね。
そういう意味では、先日のJリーグでのグダグダな試合も、同じことです。
ロスタイム19分とか、両軍入り乱れての大乱闘とか、そっち方面を面白がれる連中は、「サッカー」を楽しむというよりも「ハプニング」を楽しんでるわけでさ。
サッカーの試合自体を楽しみにしていたファンや、清水、神戸の両サポーターは、あの試合を楽しめなかったと思います。特に熱心であれば熱心であるほど。
むしろ、悲しみとか、怒りとか。
あるいは呆れるとか。
そういう感情を持ったと思いますよ、サッカーファンならね。
今回のM-1グランプリも同じことでしょう。
純粋にネタとネタの勝負を見たかった人にとっては「審査員の横暴ぶり」とかいう面白要素、全然いらんから。
「立川志らくが、いかに突拍子もない発言をして爪痕を残すか?」
とかね、そんなの求めてないんよ。
番組制作側が、純粋にネタの勝負を見せるだけじゃなく、炎上商法みたいなやりかたで注目を集めようって考えてるなら、もうダメだろうね。先は長くない。
そういう作戦でいくっていうんなら、
審査員席に蛭子能収さんでも座らせておいてさ、ネタ中に居眠りでもさせりゃいんじゃね?
それで審査の時に、100点つけたり、0点つけたり、メッチャクチャな採点させりゃ、視聴率爆発的にうなぎのぼりでしょうよ。
めでたく大炎上。
M-1の歴史に残る大会になるはず。
#蛭子さん寝てるなう
ってSNSで拡散されまくるでしょう。
#蛭子また0点つけた
とか。
んで、その大会は一時的に視聴率が上がるかも知れませんが、次の大会から番組のクオリティ、ネタのクオリティ、ガクッと下がるのは間違いないと思います。事実上のM-1の終焉です。
だからさ、審査員がネタを披露する芸人以上に話題になるってのは、そもそもなんか違うと思うんだよね。
そういうの、お笑いファンは誰も望んでないと思うのよ。
やっぱりね、上沼恵美子さんの審査員引退は、これでよかったんじゃないかな?って思います。
手っ取り早く注目を集めたり、楽して視聴率を稼ぎたいなら、いわば「名物審査員」的なキャラを利用した炎上商法とかも有効かもしれませんが、
M-1グランプリの今後の発展を心から望むなら、地道で時間はかかるかも知れないけど、主役である「ネタを披露する芸人」たちの切磋琢磨と芸の向上以外に、道は無いんじゃないかと思います。
上沼恵美子さん、お疲れ様でした。
ありがとうございました。
【追記】
上沼恵美子さんが後日、雑誌の取材に答えていました。
実は、(好き嫌いで審査していると)受け取られた部分については失言かなと反省しているんです。特にミキに『決勝に残ってほしい!』と言ってしまったのは、私情が絡んでいました。そこは反省しています。でもね、漫才はちゃんと審査したつもりです。得点に好きとか嫌いとかは、いっさい入れておりません!
『決勝に残ってほしい!』と言ってしまったのは、私情が絡んでいました。
とのこと。
ふむふむ…、やはり、どんなコンクールであれ、審査員が特定の参加者の名前を挙げて「勝ってほしい」と言っちゃうのはまずいですよね。
M-1グランプリ翌日に書いたエントリー。
追記的エントリー。
上沼恵美子への暴言は久保田なりの恩返しだったのか?