今からでも遅くはない!映画「この世界の片隅に」だけは観ておけ

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今さらながら、映画「この世界の片隅に」を観てきました。

以前、観に行った時は、満席(!)で映画館に入れなかったんですよね…。

いや~~……。

泣いた…。

人間っつ~のは、いま目の前にある「しあわせ」には、なかなか気づけないもんじゃないですか。

すべてが「当たり前」になってしまう。

でもね、

映画「この世界の片隅に」を観れば、もう一度、気づくことができます。

「しあわせ」って何なのかな?って。

年に一回、毎年夏には観たい映画です。

戦争反対。

 

18歳で知らない土地に嫁いだ女の子「すずさん」の日常を描いた作品です。

昔は、結婚相手を自分で選ぶことができなかったんですねぇ…。

主人公のすずさんは、相手がどんな人かも分からぬまま、故郷の広島市を離れて呉市に嫁ぎます。

今だったら「可哀そう!」とか「人権侵害だ!」とか、そういう話になるのかも知れませんが、当時はおそらく、当たり前のことだったんでしょう。

 

救いは、そこに悲壮感が漂っていなかったこと。

そして、

嫁ぎ先の家族が、鬼でも悪魔でもなく、ちゃんと、すずさんと同じ、血の通ったぬくもりのある人間だったこと。

ちゃんと心からすずさんを愛してくれたこと。

いろいろありながらも、すずさんを家族として受け入れてくれたこと。

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原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)
監督・脚本:片渕須直

声の出演:のん 
細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞
小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 / 澁谷天外

企画:丸山正雄
監督補・画面構成:浦谷千恵 
キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
音楽:コトリンゴ
プロデューサー:真木太郎

製作統括:GENCO 
アニメーション制作:MAPPA 
配給:東京テアトル

 

全国拡大上映中! 劇場用長編アニメ「この世界の片隅に」公式サイト

 

それにしても、主人公「すずさん」の声を演じた、のん(元・能年玲奈)が素晴らしかったですね…。

たしか、片渕須直監督が、「すずの声をやれるのは、のんしかいない」って感じでオファー出したんですよね。(うろおぼえですいません)

でもね、

ホント、のん(元・能年玲奈)じゃなきゃダメ。

 

これは、私も過去に「相田みつをシステム」というのを勝手に発案したんですけどね。

例えば、

不器用な人間の生き様を「器用さ」で描くことは出来ないと思うんですよ。

そのへんのことはこちらの過去記事に。

 

gattolibero.hatenablog.com

 

この映画の主人公、すずさんは、ちょっと間が抜けてて、うっかり者で、のんびり屋で、いつもボーっとしてる人なんです。

狡猾さだとか、世渡りの上手さだとか、処世術に長けているとか、そういうのとは無縁の人なんです。

そういうキャラクター設定なんです。

THE・素朴な人。

そういうキャラを、天才的に上手い、器用なプロの声優さんがやったらどうなるか。

「技術」で「すずさん」を演じることができるのか?

できないんだなぁ~これが。

上手さや巧みさを駆使して演じた場合、すずさんが、ちょっと器用で利口そうな人のイメージになってしまう。

(別にプロの声優さんをディスってるわけではありませんよ)

 

かといって、じゃあ下手な人が演じれば「すずさん」になるのか?

っていうと、それもまた全然違う。

単なる棒読み、イコール、すずさん、ではない。

 

そういった意味では、のんは、完全にハマってましたね。

絶妙なバランス。

「ヘタ」ではないんですよ。

女優ですから。ちゃんと演技してるんだけど。

ちょうどいい感じで、うっかり者で間の抜けている、おおらかな「すずさん」なんだよな~。

のんはまるで、演技してないようにさえ感じる。

素の、のんが、すずさんと重なる。そう感じる。

ものすごく稀有な存在だと、思い知らされましたね。

 

たとえば、男性の役者で、のんみたいなポジションの人っているか?っていうと…。

ちょっとすぐには思い出せませんね。

 

そこで男性声優問題が勃発するわけですけど。

※ネタ記事です。

gattolibero.hatenablog.com

 

(ちなみに現在、私は、宮崎監督がどういう意向で、あのようなキャスティングをしたのかは、存じております。この記事を書いた後に調べましたから)

 

 

ネタバレはしたくないので、本編に関しては、特に言いたいこともありません。ってか、ぜひ、映画館で、自分の目で確かめておくれやす。100点満点中1兆点。

とりあえず「この世界の片隅に」は、2016年の邦画の中では、評論家や関係者の間では、かなり評価が高かった作品です。

「君の名は。」や「シン・ゴジラ」など2016年は邦画の当たり年でしたが、そんな中でも「この世界の片隅に」は輝きを放っておりました。

 

映画批評と言えば、私の中ではライムスターの宇多丸さんなんですが、

宇多丸師匠いわく

映画「この世界の片隅に」を評して

「5,000億点」

「日本映画史に残る大傑作」

「正直参りました、スイマセン」

「のんさんは、すずである」

など、手放しで大絶賛。

 

番組に寄せられたリスナーの声も95%が大絶賛だったそうで、これはもう、とんでもない事態なんです。(リスナーにはゴリゴリの映画通が多い)

 

私は、宇多丸さんの番組「ウィークエンド・シャッフル」内の映画コーナー「週刊映画時評ムービーウォッチメン!」を映画を観る際に参考にする、ある種の「指標」みたいにとらえています。

宇多丸さん独特な評価の偏りもあるっちゃあるんですが、ぶっちゃけ私の偏り方も近いので、それも含めて、よく参考にしています。

 

宇多丸さんは割と正直に辛口な事も言いますからね。

番組や映画のスポンサーとか、放送局自体のしがらみで、なかなか本音を言えないケースもあるらしいんですよ、映画評論って。

でも、

宇多丸師匠は、無理矢理にでもクソ映画はボロクソに言いますからね。

過去には『SPACE BATTLESHIP ヤマト』という映画を批判する際、大人の事情で、どうしても批判できない、という状況がありました。

そこで、強引に映画タイトルを『スポーツマン山田』という隠語?というか謎の暗号に変換して、無理矢理、番組内でボロクソに叩いたというエピソードもあります。

ヘタしたら、番組自体が終わりかねないのに、危険な橋を渡っちゃう。

それが宇多丸さんの生き様。

 

そういう「狂犬」みたいな批評をする宇多丸さんが、「この世界の片隅に」に対して

「5,000億点」をつけちゃうわけです。

宇多丸さんの「5億点」ってのは聞いたことあるけど、5,000億点はヤバいです。

多分過去最高。

ってか、これどこまで行くんですかね。上限ないのかな。

 

とにかくそれくらい、ヤバい映画なんですよ。

「この世界の片隅に」って。

 

ちょっと圧倒的すぎる。

 

私も、本当にガチで「毎年、観たい」って思っちゃいましたから。

 

 

「この世界の片隅に」は、当たり前に過ぎていく日常の中に「しあわせ」があるんだよ、って教えてくれます。

映画を観終わった瞬間は、思うんです。

「なにげない毎日を大切にしよう」

とか

「ひとつひとつ、丁寧に、目の前にあることに取り組んでいこう」

とか。

でもさ、そういうのって、月日が経つと、いつの間にか忘れてしまうじゃないですか。

いつの間にか、日々の忙しさに流されて、忘れてしまう。

 

今日という日を「あって当たり前」の一日のように過ごしてしまう。

 

本当は、当たり前のことなんて、何一つなくて。

 

本当は、どの瞬間だって「奇跡」なのかもしれなくて。

 

自分が忘れてるだけで。

自分が気づけないだけで。

 

毎日の生活の中に「愛」も「しあわせ」も、実はちゃんと存在していて。

 

何気ない毎日の中に大切なものはある。

・・・・・・

そんなふうに思ったりするわけです。

 

そんな時に

「この世界の片隅に」 

を観れば、もう一度、思い出すことができます。

気づくことができます。

 

何度でも、何度でも、そうやって気づき直せばいい。

忘れて、思い出して、また忘れて。

そうやって、迷ったりつまづいたりしながら、不器用でも丁寧に生きていけばいい。

そんなふうに思える映画です。

 

この世界の片隅に

 オススメです!

 


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