なでしこジャパンが、リオデジャネイロオリンピックの出場権をかけたアジア最終予選で敗退し、16年ぶりに五輪出場を逃しました。
チームの…いや日本女子サッカー界の大黒柱 兼 レジェンド、澤穂希さん引退後の初めての大きな大会で、まさに、なでしこの真価が問われたわけですが……
「惜しかった」とは到底言えない内容の試合を繰り返し、結果的には大方の想像をはるかに超える大惨敗となってしまいました。
私は、このまま女子サッカーが、「なでしこジャパン」が、フェードアウトするようにテレビのスポーツニュースから消え去り、国内の女子サッカーチームのスポンサーが軒並み撤退するという暗黒時代へと逆戻りしてしまうのではないかと危惧しています。
澤穂希を失った「なでしこ」は同時に他の物も失ってしまった
澤穂希さんは引退会見の際「もっとも辛かった時は?」と聞かれ、
「2004年アテネ五輪の出場権をかけたアジア最終予選、勝てばオリンピックの出場が決まる準決勝の北朝鮮戦が、自分にとっても、日本の女子サッカー界にとっても、もっともキツイ試合だった」
と答えています。
この試合は、澤選手自身にとってコンディションの面で最も過酷な戦いでした。
澤選手は大会の直前に右ヒザ半月板の損傷という重傷を負い、痛み止めの注射を何本も打ち、テーピングでヒザをぐるぐる巻きにしてプレーしていました。
当時の日本には、澤穂希の代役をこなせる選手などいなかったのです。
そして、もう一つ、この試合は、日本女子サッカー界全体の未来をうらなう意味でも非常に重要な一戦だったのです。
http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201512180001-spnavi
2004年4月24日。アテネ五輪行きを懸けたアジア予選の準決勝。相手は日本が13年間勝てていない北朝鮮だ。日本はこの試合に勝てば2大会ぶりに五輪出場を決める。しかし負ければ予選敗退。同時に日本の女子サッカーはすべてを失うかもしれないとさえ言われていた。前回のシドニー大会に続いて五輪出場を逃せば、クラブを運営する企業やスポンサーがさらに減ることが予想され、そうなると国内リーグの存続も危ぶまれる。選手たちにとってこの試合は、夢の舞台に続く大事な一戦であると同時に、この先もサッカー選手でいられるかどうかを決めるという意味で、文字どおり人生を懸けた一戦でもあった。
当時の国内リーグには逆風が吹いていました。
サッカー文化の存続よりも企業の利益を優先したスポンサーが次々と撤退し、このままでは国内リーグ自体が消滅してしまうのでないか?というところまで追い込まれていました。
「もしもオリンピックの出場権を逃せば、日本の女子サッカー界は終わる」
当時は、そんな風に言われるほど、過酷な状況だったのです。
現在のなでしこ達も崖っぷちにいる状況だ
私は最初、今回のリオ五輪の出場権をかけたアジア最終予選が日本国内で開催されていることに気付きませんでした。
スポーツニュースなどで、日本の試合をちょっとだけ見かけましたが、客席のガラガラ感がひどく、どこか東南アジアあたりの国で試合をしてるのかと思っていました。
まさか、日本国内で「なでしこジャパン」が戦っているのに、これだけ客が入らないとは……ちょっと予想外でした。
試合の後、大儀見選手が「この試合の大切さが分かってない選手がいる」というような発言をしてめちゃめちゃ怒っていましたが、もしかすると、若手選手の中には、危機感を持っていない選手もいたのかも知れません。
「例え負けたところで、まさか、なでしこリーグ自体が消滅するはずがない。自分の居場所がなくなるわけがない。」
そういう態度の選手が、もしかしたら、いたのかも知れません。
昔はOLをやりながらプレーしている選手が結構いましたよね。(澤選手以外全員?)
人気があったボンバーヘッド荒川選手が、スーパーのレジ打ちをやりながらプレーしてたのは有名な話です。
なでしこの現キャプテン宮間選手も、昔は旅館の仲居さん?か何か、やってたような。
若い選手は、確かに不遇の時代を知らないわけですから、仕方が無い事かも知れませんが……
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/03/09/kiji/K20160309012183110.html
仕事とサッカーの両立に苦しんだ人もいれば、プロ契約を打ち切られた人もいた。どんな逆境でも諦めない「なでしこらしさ」は決して恵まれているとはいえない土壌から生まれた。
突如訪れた、なでしこブームはその潮目を変えた。スパイクにしろ、練習環境にしろ恩恵を受けた一方、ファンの共感を得る謙虚さは確実に失われた。それが生活にもプレーにも如実に表れたのが、不遇の時代を知らない若い世代だった。
いずれにせよ、今のままでは、もう一度スタジアムを満員にするのは非常に難しいような気がします。
強さと美しさ、両方を兼ね備えた猶本光(なおもと ひかる)の成長に期待。あと、ブチ♪
誰かが言っていました。
「女子のスポーツは、強いか、ルックスが良いか。そのどちらかが無ければ、メディアに取り上げられることは無い。」
う~~ん…確かにそうですけどねぇ。
それを言ったら男子だって同じですからねぇ。
弱ければ、活躍できなければ、誰にも見向きもされないってのは、男女同じですよね。
ひょっとしてひょっとすると、なでしこは今後「強さ」を求めず「ルックス」を求めていくんでしょうか?
だとすれば、猶本光(なおもと ひかる)の存在は更に重要になってきますね。
サッカー日本代表写真ニュース : nikkansports.com
ちょっと美しすぎるので話題先行の感はありますが、猶本光(なおもと ひかる)は、間違いなく良い選手です。
視野の広さ、パスのセンスに、可能性を感じさせます。
ルックスだけだと思ったら大間違い。
実力的にもA代表定着まであと一歩のところまで来ています。
現在はU-23日本代表の主力としてスペイン遠征を終えたばかりですね。
U-23日本女子代表 ラ・マンガU-23女子国際大会を3連勝で終える(3/6) | JFA|公益財団法人日本サッカー協会
あとは、バイエルン・ミュンヘン所属の岩渕真奈(いわぶち まな)の覚醒ですね。
まぁ、なんという可愛らしさでしょう。
https://twitter.com/buchi_mana/status/562559961251991552?ref_src=twsrc%5Etfw
岩渕はプレー自体は、もう覚醒してるんですよ。完全に現時点で、なでしこの切り札的存在ですし。
岩渕に求める「覚醒」とは、自分が「なでしこのマスコットガール」として「なでしこのアイドル」として、日本女子サッカーを引っ張っていくんだ、という自覚ですね(笑)
まぁ、そのへんのアイドルより全然カワイイんじゃないでしょうか(笑)
https://twitter.com/buchi_mana/status/584334640439304192
世代交代と監督交代で、今後数年は勝てない時代が続くのでは?
今後の「なでしこ」に大きくのしかかってくる問題は、世代交代と監督交代による停滞期でしょうね。
新たな監督によるメンバー選考で、主力が若手主体にガラリと入れ替わる事になると思いますし、新監督が導入する戦術が浸透するまでは、チームがまとまらない状況がしばらくは続くと思いますね。
これは、なでしこにとってはかなりのダメージになるんじゃないかと懸念しています。
生まれ変わった新生なでしこが、いきなり連敗でもしようものなら、テレビでの露出はさらに一気に減ってしまう事が考えられます。
この5年間、なでしこの世代交代は健全に行われていたのか?
歴史的快挙、ワールドカップで優勝した時のメンバーを改めて確認してみましょう。
FIFA女子ワールドカップ ドイツ2011の決勝を戦ったのは以下のメンバー。
これが、5年前のメンバーです。
GK 21海堀 あゆみ
DF 2 近賀 ゆかり
DF 3 岩清水 梓
DF 15 鮫島 彩
DF 4 熊谷 紗希
MF 10 澤 穂希 (Cap.)
MF 8 宮間 あや
MF 9 川澄 奈穂美
MF 6 阪口 夢穂
FW 7 安藤 梢⇒17 永里 優季
FW 11 大野 忍⇒18 丸山 桂里奈⇒20 岩渕 真奈
5年後に台頭してきた若手がどれくらいいるのか?
今回のアジア最終予選(リオデジャネイロオリンピック2016)初戦のメンバー。
赤い文字が新たに起用された選手。(5年前にはいなかった)
GK12 山根 恵里奈
DF 3 岩清水 梓
DF 4 熊谷 紗希
DF 5 鮫島 彩⇒FW 16 岩渕 真奈
DF 13 有吉 佐織
MF 6 阪口 夢穂
MF 8 宮間 あや (Cap.)
MF 9 川澄 奈穂美⇒MF 7 川村 優理
MF 14 中島 依美
FW 10 大儀見 優季
FW 11 大野 忍⇒FW 20 横山 久美
お分かりの通り、実力でスタメンのポジションを奪い取った、と言える選手はほとんどいません。
5年間、新陳代謝は、ほぼ成されていませんね。
新たに起用された選手を個別に見ていきましょう。
GK12 山根 恵里奈
キーパーの山根選手は実力でポジションを奪い取ったというよりも、ベテランの海堀、福元の両選手がピークを過ぎたことによってチャンスが回ってきた、と言う感じが否めません。
その証拠に、2戦目以降、絶対に勝たなければならなくなった日本は、山根を外し、ベテランの福元をキーパーに抜擢しています。
DF 13 有吉 佐織
唯一、実力でポジションを奪ったと言えそうなのは有吉選手だけかもしれません。
サイドバックは消耗の激しいポジションですから、いつまでもベテランの近賀選手だけには任せられない、という事情も世代交代が進んだ要因と言えるでしょう。
MF 14 中島 依美
中島選手は非常に攻撃的なセンスがあって運動量も豊富なので、今後の、なでしこの主力となるのは間違いありませんが、
もし仮に、澤がいたらどうだったか?あるいは宇津木の体調が万全だったらどうだったか?と考えると、まだまだスタメンを任されるほどには成長していないかもしれません。
本来であれば、今大会は、すでに世界的なレベルに達している宇津木がボランチに入るはずが体調不良で欠場となり、かわりに宮間がボランチに下がったので、中島にチャンスが巡ってきた、というのが実情でしょう。
そう考えると、中島も実力で今のポジションを勝ち取った、とは言いにくいですね。
MF 7 川村 優理
川村も、本来であればセンターバックかボランチでスタメンを任されるところまで成長してほしい選手ですが、一つのミスが失点に直結するポジションですので、まだ難しいかもしれません。
実際、中国戦では不用意なバックパスをして先制点を献上、前半だけで交代を命じられてしまいました。
FW 20 横山 久美
横山も、今後が期待される選手ですが、FWの序列としては、やはり大儀見、大野、岩渕につぐ4番手(あるいはそれ以降)とチーム内では考えられていそうです。
新戦力が台頭してこない「なでしこ」ならではの事情
なでしこの戦術は「チームでの連携」がキモですから、急に新しい選手が入ってもなかなかフィットできないという事情があります。
ある程度「サッカー脳」が優れていないと、なかなかチームに溶け込むことは出来ません。
これが、世代交代を停滞させている要因でもありますね。
なでしこの強み「チームでの連携」は武器でもあり、若返りを阻む障害でもあるのです。
ただし、おそらくこれで佐々木監督は退任という事になるでしょうから、ここからは新しいチーム作りが始まります。
監督が代われば、戦術もスタメンの人選も変化があるでしょう。
ここで一気に世代交代を進める事になると思いますが、問題なのは、その結果、チームが熟成するまで勝てなくなるのではないか?という懸念です。
監督選びに失敗した場合、なでしこは、とてつもないピンチを迎えることになる可能性があります。
なんだかんだ言って、新生なでしこに超・期待!
今回の敗戦を、逆に変革のためのいい機会だったと考えて、なでしこをよりいっそう応援しようではありませんか!
ようやく日本に根付いてきたサッカー文化を絶やすわけにはいきませんよね。
今日はこの後、間もなく、なでしこの試合があります。
北朝鮮戦です。
泣いても笑っても、このチームでの試合はこれがラスト!
精一杯、悔いの無いように、戦ってほしいです。
なでしこジャパン、このチームで最後のトレーニング ~オリンピックアジア最終予選~ | JFA|公益財団法人日本サッカー協会
なでしこ~、がんばれ~(^o^)/
最後にフットサルの動画を。
ヨボヨボのへたくそなおじいさんが、突然、天才的なテクニックを披露するドッキリ企画です。