「逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。」
伝説的アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主人公、碇 シンジ(いかり しんじ)の名台詞。
こんなセリフが流行っちゃう世の中だから、そりゃあ、生き辛いはずだよ。
どんな人間だって子供の頃は、みんな当然バカなんだから、人気アニメの押し付けてくる価値観を鵜呑みにしちゃうわけ。
新世紀エヴァンゲリオン
庵野秀明監督、GAINAXの原作によるSFアニメ作品。大災害「セカンドインパクト」後の世界(2015年)を舞台に、巨大な人型兵器「エヴァンゲリオン」のパイロットとなった14歳の少年少女たちと、第3新東京市に襲来する謎の敵「使徒」との戦いを描く。
オレは、オッサンになってからエヴァンゲリオンを観たから、超~面白かったけどさ、中学時代に観ちゃったヤツなんかは、いろいろと影響されて大変だったんじゃないかな。
子供っつ~のはさ、まだ自分自身の確固たる「核」を持っていない、グラグラな状態なわけじゃん。
洗脳するには、もってこいの状態なのよ。
そのタイミングで
「逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。」
を刷り込まれちゃ、その後の人生、キツすぎるだろ。
長い人生だよ。
生きてたら、どうしても逃げなきゃならない場面は死ぬほど出てくるよ。
そんな時に、
碇シンジの「逃げちゃダメだ。」に翻弄されて、逃げるタイミングを失って、うつ病になったり、過労死したりして。
バカじゃねぇのかと思うわ。
逃げろや。
てめぇの頭で判断しろや。
オレも昔、バイトを辞める時なんかは、ホント、いつもメチャメチャ葛藤したよ。
すげ~自己嫌悪に陥った。
アタマ悪かったからな。
自分の核を持ってなかったからな。
世間体を気にしていたからな。
自分に自信を持っていなかったからな。
「自分は逃げたことになるんじゃないのか?」
「負けたことになるんじゃないのか?」
「オレはダメな人間だ」
「どんなに辛くても、続けることが大切なんだ」
「逃げちゃダメだ。」
「負け犬になんかなりたくない」
いったい、誰の作ったルールに翻弄されてんだか。
情けない。
てめぇの本心に正直であるべきだった。
自分の味方になってやるべきだった。
自分を信じて、応援してやるべきだった。
「逃げたい」って心底、思ってるんだから、逃げるべきだった。
20代のある時、オレは逃げた。こうなりゃ徹底的に逃げてやると思った。
オレはその時、完全に行き詰っていた。
どうやって生きていけばいいのか、完全に分からなくなった。
ただ一つ言える事は、
今のままでは、何も変わらない、という事だけだった。
4畳半のボロアパートで、図書館から借りてきた哲学や宗教や自己啓発の本を何十冊読んでも、何も変わらなかった。
バイトして、ちょっとカネが貯まったら、バイトを辞めた。
無理。出来ないものは出来ない。自己嫌悪に陥りながら、辞めさせてもらう。
カネが無くなるまで、部屋に引きこもって、ずっと本を読んでいた。
多分、ノイローゼ状態だった。ヤバかった。
当時の日記は正視できない。
そんなこんなで青春もクソも何もなかった。
地獄みたいな日々が何年も続いた。
スマホもケータイも、パソコンも無かった時代だから、ただ部屋でじっとして、本を読んで考え事をするだけの毎日だった。
ある時、気が付いた。
オレくらいバカだったら、数百年かかっても「真理」なんかにはたどり着けない。
どうしよう。
これだけ頑張っても、何も答えを見つけることは出来なかった…。
きっと答えはあるはずだと思っていたのに。
完全に詰んだ。
そう思った。
死ぬか。あるいは・・・
生きててもしょうがねぇなあと思ったけど、それが「死ぬ理由」になるとも思えなかった。
居ても立っても居られない。
何していいのか分からんけど、何かやらなきゃ。
決めた。
覚悟を決めた。
こんなもん、死んでるのと一緒だ。
やけくそ。
取りあえず、どこかへ行こう。
逃げる。どこまでも逃げる。
みなさんさようなら。社会の歯車の一つではなくなった。完全にドロップアウト。
とりあえず我慢してバイトしてカネを貯めた。
最初の給料で自転車を買った。
毎日、片道1時間かけて、自転車でバイト先へ通った。
脚力や持久力を鍛えるためだ。
翌月の給料で、テントや寝袋を買った。
さらに翌月、結構カネも貯まったし、体力もついてきた。
よし、準備は出来た。
「サーセン、バイト辞めます」
ボロアパートを引き払った。
今日からオレは住所不定無職だ。
あばよ。東京。
いぇーい。
オレは社会のシステムから完全に解放された。
アドレナリンが分泌されて、超絶ハイテンションでチャリを漕ぎまくった。
最初の数日、ほとんど寝ないでチャリを漕いだ。
何度もトラックに轢かれそうになったが、死んだら死んだで、その時はその時だと思った。
命なんて、どうだっていいよ。今、それどころじゃねぇんだよ。
とにかく、逃げるんだ。
どこまでも逃げる。
全部、振り切ってやる。
気持ちの中では
「うおおおお!」
って叫びながらチャリ漕いでいたと思う。
もしかしたら、本当に叫んでいたかもしれない。
あんまり覚えていない。
ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!
何に怒っていたのか分からない。
自分に対して怒っていたのか、社会に対して怒っていたのか。
でも、小梅太夫ばりに、チックショー!!
って思いながら、ペダルを踏みまくっていた。
必死になってガムシャラにペダルを踏む。逃げているのか、何かを追いかけているのか、分からなくなった。
ヘトヘトになるまで、毎日ひたすらチャリを漕ぐ。
逃げろ。逃げろ。逃げろ。
もっと逃げろ。
もっと逃げろ。
そのうちに、
必死に何かを追いかけているような錯覚に陥った。
最初は、ものすごくネガティブな動機で「逃げた」はずなのに、
今では積極的に何かを掴もうと、追いかけているような気がしている。
生きてる。
そう感じた。
そのあと、色んな人に会ったり、心境の変化もあったりして、人生がどんどん激変していった。
まぁその話はまた今度な。
過去記事にもちょっとだけ書いたけどね。
今、本当にどうしようもなく、人生に行き詰っているヤツは、チャリで旅に出ろ。逃げまくれ。
見返りを求めるな。
保険を掛けるな。
自己責任で全てを決めろ。
全ての責任を背負い込め。
覚悟を決めるとはそういう事だ。
巨大なトラックが横を通過する時に、巻き込む風でトラックの方に引っ張られるので、それには気をつけろ。死ぬぞ。
バイクじゃダメだ。
ヘトヘトに疲れなければ意味がない。
死ぬほど疲れたら、ただの水でも、メチャメチャ美味いと感じることが出来る。
つづら折りの峠を喘ぎながら自分の足で登り切った時に見下ろす頂上からの景色は、お前だけのものだ。
そうやって峠を越える度に「小さな勝利」を積み重ねて行け。
ヒッチハイクじゃダメだ。
てめぇの足で進まなきゃ意味がない。
最初から他人に便乗する前提では意味がない。
安易な方へ流されるな。
乗せてあげましょうか?という善意を断れ。
「自分の足じゃないと意味がないんです」とハッキリ言え。
徹底的に痛めつけろ。考えろ。無心になれ。
徒歩の旅は、ビギナーには相当キツイからオススメしない。
チャリ旅に物足りなさを感じたら、次は歩け。
歩く時は、まず四国を歩け。
お遍路さんの文化があるから、ズタボロの乞食のようになって歩いていても、警察に通報されないので歩きやすい。
部屋でスマホをいじってるだけでは、何も変わらないぞ。
覚悟を決めて徹底的に逃げきれ。
そうすれば、何かが変わる。
何かが見えてくる。