昔、芸術の道で生きていこうと思っていた時期があった。
小手先のテクニックなんて関係ない「実力勝負」の世界だと思ったから、ここでなら戦えるって思ったんだよな。
人生を棒に振る覚悟でガムシャラに絵を描き始めた。
「芸術、アートの世界」って、オレの中では超~敷居が高くて、飛び込む時にはメチャメチャ勇気が必要だった。
でも、ずっと表現者になりたかったから、人生を棒に振る覚悟で行くしかなかった。
勇気をもって飛び込んでみると、意外とあっけないほど、手ごたえは最初からあった。
まぁ、少しは「オレなら絶対にやれるはずだ」っていう自信もあったんだけど。
当時のオレの中には、グツグツと煮えたぎるような、何か得体の知れないエネルギーが充満していたから、それを発散して作品にすればいいんだろ?ってのは、分かっていた。
試しに一枚、新しくできたギャラリーが主催した、なんちゃらビエンナーレ的な公募展に出してみたら、「がんばったで賞」みたいなモノをもらった。
あとで事情に詳しい人から
「賞をもらった連中は、君以外、だいたいみんな審査員の知り合いだよ」
って話を聞いて、芸術の世界って、超クソなんだなって心をへし折られた。
オレは「ひたすら部屋に籠って絵だけを描いていればいいんだろ?」
って思ってたけど、そんなに甘い世界じゃなかった。
いろんな人に会いに行かなきゃならない。
オレと同じレベルのアーティストなんてごまんといるから、差をつけるには顔を売るしかなかったし、最悪、賄賂とかが必要だったりするんだよな。
互角の場合は「世渡り上手な方が勝つ」そういう世界だった。
まぁ、普通の会社と同じだよね。
営業努力が必要だった。
知り合いの無名アーティストの個展がある度にオープニングパーティーに顔を出して、そこに来ている連中と名刺交換をしなくちゃならない。
それをサボると、自分の個展に人が来なくなるから、行くしかないんだよね。
円滑な人間関係を築けるかどうか?は、かなり重要だった。
誰かの個展が常に開催されているから、毎週末、パーティーがあった。
ギブ&テイク。
なんなんだこれは。
オレがやりたいのは、こういう事じゃない。
オレが圧倒的なまでの天才芸術家であれば、営業なんて不要だったのかも知れないけど、残念ながらオレにはそこまでのチカラが無かった。
ちなみに、
無名時代のピカソには、こんなエピソードがある。
ピカソは変装して、街中の画廊を回るんだ。
「ピカソの絵が欲しいんですが、この画廊で扱ってますか?」
画廊のオーナーたちに
「ピカソという無名画家の絵は、カネになりそうだ」
と思わせるためだ。
ダリの場合は、相棒のガラが、あの手この手で売り込んでいた。時にはハッタリかましたりしてね。
とんでもない天才たちでさえ、駆け出しのころは、必死に営業を頑張ってたんだよね。
でも、オレはそういうの、ちょっと無理だった。
コツコツと続けていれば、カネにはならなくても、ちょっとは有名になったかも知れない。賄賂とかいろいろ駆使してね。
でも、できなかった。
社会人失格だよね。
みんなは出来てるのに、オレは出来なかった。
そうやって、何度も心をへし折られる事があって、
他にも、
ちょっと第三者がかかわる話だから書かないけど、いろいろとあって、けっこう悩んでいた時に「大福」に出会った。
それまでオレは「生きる」ためには、作品を生み出し続けるしかないって思っていた。
「芸術に生かされている」と思っていた。
「アートが無ければ死ぬ」って思っていた。
それは、カネのためとかそういう事じゃなくて「生きる意味」を見失う事だったからだ。
でも、大福と出会って、生きていけるって感じた。
大福さえいてくれれば、大丈夫だって思った。
芸術なんかに頼らなくたって、オレは生きていくことが出来るって思えた。
大福と一緒にいると超~楽しい。
人生って、こんなに楽しいもんなのかと思った。
大福もなかなか立派なクリエイターだったが、オレと出会って、モノづくりを辞めちゃった。
大福のファンの人、サーセン。
大福も「自由ネコの中の人」と出会って、作る必要が無くなった、と言った。
きっと、オレも大福も「誰かに認められたい」という衝動が、無くなったんだと思う。
完全に何かが満たされたんだと思う。
たった一人でも「あなたは世界で一番、最高だよ」って言ってくれる人がいれば、それで人間は救われるのかも知れない。
ありのままの自分をまるごと全部、受け入れてくれる人の存在があれば「今とは違う自分」を目指す必要が無くなるんだろうな。
つ~ことで、オレはアートの世界から足を洗いました。
そして多分、
AKIRA(杉山明)に出会ったことも、オレがアートを辞める大きなきっかけだった気がする。
フェイスブックでめちゃくちゃシェアされたので、はてなブログ公式ツイッターが人気記事としてピックアップしていたようだが、ブックマークは1個もついていないというミラクル。
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— はてなブログ (@hatenablog) 2016年2月22日
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え~と。
今、大福に怒られた。
晩御飯の時間にパソコンやめろってさ。
ま、そういうこと。
続きはまたいずれ。