物忘れが激しいと自動的にドラマティックな毎日が向こうからやってくる

一昨日、こんなことがあった。

オレは相方の「大福」に、確かに何か

頼まれ事をされていたはずだった。

 

何かを「買ってきてほしい」って

言われていたはずだった。

 

しかし、それが何かをまるっきり

思い出す事が出来ない。

 

最近は本当に物忘れが激しくて

非常に困ることが多いけど、

それ以上に、都合がいい事が多い。

 

とりあえず「今日やるべきこと」を

チラシの裏に書いておくんだけど

そのチラシをどこに置いたのか思い出せなくなる。

 

やばい!今日やろうと思ってたこと、

何だったっけ?

あせる。

わざわざ紙に書いたくらいだから

きっと大切なことだったに違いない。

 

あせる。

 

……

 

そのうちに、なんで自分が

これほど動揺しているのかも思い出せなくなる。

オレ、なんで焦ってたんだっけ?

 

全部まるっと忘れてしまうので

結局、平常運転の毎日になる。

 

そして時々、

「やるべきこと」がメモしてある紙きれを

部屋の片隅で、数枚同時に

発見してしまうんだけど

まぁ、だいたい、

一瞥して破り捨てちゃう。

 

メモの中身は、

さほど重要なことだとも思えない内容。

数日前のオレって、

意外と真面目に生きようとしてたんだなぁと驚く。

 

今日のオレは昨日のオレよりも

すこしだけ不真面目さがパワーアップしている。

「これでいいのか?」と自問自答してみるが

どう考えても「これでいいのだ」としか思えない。

 

さて、

冒頭で述べた「大福からの頼まれ事」が

どうしても思い出せないオレ。

 

最近は毎日、大福に怒られている。

オレは、怒られた時は、可能な限り

可愛い顔をして「テヘペロ」をするように

心掛けているので、大事には至っていない。

 

とにかく、大福にメールしてみよう、と思った。

はやくメールしないと、

メールで伝えたかったことが何だったのかも

思い出せなくなりそうだったし

このままだと、メールする事自体を

忘れるのは間違いなかったから。

 

オレ

「何か買ってきてって言ってなかった?」

 

大福

「バター買ってきて。」

 

オレ

「え?今日?」

 

大福

「火曜日までに買ってくれればいいよ」

 

なんだ。

バターか。

いや、バター……?

オレ本当にそんなこと、頼まれてたのか?

まぁいい。

執行猶予付きだからな。

今日は買いに行かないよ。

 

 

夜に大福が帰ってきて台所に立った時に、

ハッとした顔でこう言った。

「買ってきて欲しかったのは、こんにゃくだった」

 

こんにゃくがバターに変換される錬金術は初めてだ。

 

オレは大福を怒らないし

怒っても

大福は「テヘペロ」の顔をしない。

 

しろよ、テヘペロ。