実話を元にした映画『それでも夜は明ける』をDVDで観た。
実在する黒人音楽家、バイオリニストのソロモン・ノーサップの手記『Twelve Years a Slave』が映画化されたものだ。
白人に誘拐され虐待を受けながら奴隷として生きた、地獄の12年間の実話。
何から書き出せばいいのか分からない。
さっきから、書いては消して、書いては消してを繰り返している。
伝えたいことは山ほどあるが上手くまとまらない。
ソロモンは家族と共にニューヨークで暮らす音楽家だ。
バイオリニストとして生計を立て、何不自由ない生活を送っていた。
・・・・・・
いや、こんなことは別に書かなくていいか。
あらすじなんて、他のサイト見ればいくらでも分かるしな。
公式サイトの情報量が、かなり多い。
映画を作った人たちも伝えたいことが山ほどあるんだろう。
人間は、何故、ここまで残虐になれるのか。
「虐待する側にも、ちゃんとしたそれなりの理由があるんだからしょうがないんだよ」
とは、到底思う事が出来ない。
黒人は家畜だから別に殺してもいいじゃん?
え?
家畜なら殺す?
遊び半分で?
ストレス解消のために?
いやいや、無いわ。
例え豚や牛でも、あんな風になぶり殺したりしないだろ、普通。
なんなん?
なんで平然と殺しちゃうかな。
しかも周囲の人間も、当たり前の顔で見てる。
怖い。
当時のアメリカ南部では、それが当たり前だったんだよ。ってか?
あなたたち、熱心なキリスト教徒じゃなかったっけ?
アリなの?
毎朝、聖書の一節を読んで、その数十分後には黒人奴隷を鞭で打ってる。
当たり前の顔して。
もしも奴隷制度が撤廃されれば、奴隷商人たちが皆、職を失う!
そんなの許されない!
奴隷商人にも人権はある!
奴隷商人にも妻や子供がいるんだ!
家族を食わせるために一生懸命、奴隷を売買してるんだ!
奴隷商人から仕事を奪うな!
こういうことでしょうか。
他者の権利を奪った上で、自分の権利は主張すると。
なるほど。頭イイネ。
目を背けるな。『それでも夜は明ける』は、観るべき映画だ。
嫌なものからは目を背ける、っていうのもアリかも知れない。無かったことにしてしまえばいい。
だけどね、実は、この映画を世に送り出すために、大勢の人たちが闘ったんだよ。
白人の残虐行為が描かれている映画なんて作るべきではない、と考えている勢力は、何とかしてこの映画を抹殺しようとしてたと思う。
この映画の監督はスティーヴ・マックイーンっていうんだけどさ、俳優のマックイーンとは別人。マックイーン監督はイギリス生まれの黒人監督だ。
マックイーン監督は「この映画はブラッド・ピットがいなければ日の目を見ることは無かった」って言ってるんだ。
「黒人奴隷の映画なんて興行的に儲かるはずがない」ってイチャモンつけて、映画会社が協力してくれないワケ。
まぁ、興行的なことを理由にしてるけど、きっとそれだけじゃないんだ。
「白人至上主義」みたいなのは、まだ根強く残ってるんだよね。
そこへ、ブラッド・ピットが現れた。
ブラピは「この映画は何としてでも世に送り出すべきだ」と考えて、映画会社と大ゲンカしたんだ。
結局、ブラピが男気を見せて「必要なカネはオレが何とかする!」ってタンカきってさ。
ガムシャラに東奔西走して、おカネをかき集めたんだってさ。
ブラピが、裏方として、すごく頑張ったんだ。
ブラピが頑張らなかったら、この映画はお蔵入りだったんだ。
友情出演って感じで最後の方に数分だけ、ブラピが出てくるけどさ、
「僕の信念が正しかったことを証明したい」
って感じのセリフを言うんだ。
これ、完全に、自分のその時の本音を言ってるんだよな。
泣けるわ~。
また、そのセリフを言わせたマックイーン監督も、粋だね~。
映画はアカデミー賞の主要3部門を受賞している。
あ!今またすごい情報を知ってしまった。
ブラピは南部の出身で「黒人は人間ではない。」という人々の中で育ったんだ。
ブラピのお母さんはいまだに「オバマはアメリカ人ではない」とか言ってるらしい。
………
そういったモロモロのことを考えるとさ、ブラピは根性見せたよな。
怖かったと思うよ。闘ったんだと思うよ。
「都合の悪い映画は抹殺してしまえ」という考え方
実は、この映画のように虐待シーンがある映画が、過去に公開中止になったケースがある。
アメリカではなく、ここ日本で。
日本人がアメリカ人捕虜に残虐な拷問を行うシーンがあるから、日本では上映させるべきではないと公開が中止になった。
皮肉にも、その映画を撮ったのはブラッド・ピットの妻、アンジェリーナ・ジョリーだ。
一度は日本での公開が決まっていたようだが、すべてチャラになった。
一部から「反日映画だ!」と批判され、それにビビった配給会社や映画館は、公開を中止してしまった。
予告編を見ればわかるが、「一人の男の不屈の生き様」を描いたものであって、決して反日が主題の映画ではない。
『Unbroken(アンブロークン)』もまた、事実に基づいた作品だ
この映画の内容も信じられないような話だが、「アンブロークン」もまた、先ほど挙げた「それでも夜は明ける」と同様に、実話が元になっている。
陸上のオリンピック選手ルイス・ザンペリーニの身に次々と降りかかる地獄レベルの困難。
それを不屈の精神で克服していく様を描いているわけだが……
その中に日本軍の捕虜として壮絶な虐待を受け続けるシーンがある。
執拗にザンペリーニを痛めつける日本兵、渡邊睦裕(わたなべむつひろ)もまた実在の人物だ。
この「ワタナベ」がもう、完全に狂人。
オリンピックに出場した有名人であり英雄のザンペリーニを徹底的にいたぶる。
ワタナベの狂人ぶりは検索すればいろいろと出てくる。
ワタナベは、捕虜を徹底的に痛めつけボコボコにした後に、その夜、誰にも見つからない様に、こっそりと謝罪する。
泣きながら「ごめんよ、もうしないから許して。お菓子持ってきたから食べて」と詫びる。
そして翌日、その捕虜をまた徹底的に虐待する。
夜には泣いて謝罪する。
これをひたすら繰り返す。
ワタナベは非常にずるがしこく卑劣な男なので、戦後すぐに雲隠れしている。
自分のやってきた行為がどれほどの悪事なのか理解していたのだろう。
結局ワタナベは消息不明という事で戦後の裁判でも罪を問われていない。
そして、ほとぼりが冷めた後に、ひょっこりと現れ、のうのうとインタビューにも答えているが「捕虜への虐待は軍の命令などではなく、自分個人の楽しみのためにやった」というような発言をしている。
人間とは恐ろしい生き物だ。
こういった信じられない行為が捕虜収容所で日々繰り返されていたわけだが、この虐待シーンを描くことが、イコール反日運動だと考えるのは無理があるだろう。
しいて言えば、反ワタナベ、反日本軍、とは言えるかもしれないが、ザンペリーニの生涯を描くにはどうしても欠かす事はできないエピソードだ。
『Unbroken(アンブロークン)』は反日映画だから日本での上映は全面中止にすべきだ、というのはちょっと納得できない。
なにやら腑に落ちない理由で公開中止になった『Unbroken(アンブロークン)』。
アンジェリーナ・ジョリーは、どう思っただろうか。
旦那のブラッド・ピットはどう思っただろうか。
日本の事をどう思っただろうか。
「日本人は卑怯で保身に走るワタナベのようだな」って少しでも思わなかっただろうか。
そしてついに『Unbroken(アンブロークン)』が公開された!
「勝手に反日映画だと決めつけて、公開中止に追い込むなんておかしいだろ!?」という声も大きく、有志による「公開しよう」運動などもあったおかげで、ようやく「アンブロークン」が日本でも公開にこぎつけた。
良かった。
我々は第2第3のワタナベにならずに済んだ。
一時は、ブラピとアンジーに合わせる顔が無くなるところだった。
現在、渋谷のシアター・イメージフォーラムというところでやっているようだ。
今自分が、当たり前のように生きていることが、実は全然、当たり前なんかじゃないという事実。
1日200円以下で生活している人が世界中に30億人もいるんだってさ。
……半分じゃん。
30億人の人たちはきっと、ブログを書くことなく、ツイートすることなく、フェイスブックのアカウントも持たないまま死んでいく。
ケータイもスマホも一生持てないかもしれない。
もしかしたら、靴を履くことさえ、所有する事さえ一度もないまま死ぬのかも知れない。
我々は、たまたまラッキーで日本に生まれただけ。
決して自分の能力が高いから今の生活ができてるわけじゃない。
単なる偶然。たまたま。
「保育園落ちた」と発言する事さえ許されない境遇にいる人たちが何千何万何億もいる。
こうして鼻くそほじりながらブログ書けてるのは、オレが何か努力をした事への対価なのか?
オレは、今この瞬間をつかみ取るために、血のにじむような努力を積み重ねてきたのか?
頑張った成果として、ツイッターでバカなことをつぶやく権利を得たのか?
オレは何にもしてないよ。
ただ、ぼけ~っと生きてるだけ。
それなのに、この境遇。
恵まれ過ぎかもしれない。
感謝してるか?
今、この瞬間にちゃんと感謝してるか?
もう一回、ちゃんと生き直したくなるね。
気持ち的には、ちゃんと背筋を伸ばして、うん。
背筋を伸ばして。
もう一回姿勢を正して、一瞬一瞬を精いっぱい生きないと。
自分が出来る事を精いっぱい、やる。
出来ない事は出来ないけど、きっと出来る事もあるはず。
自分が出来る事を、自分のやり方で、精いっぱい、やる。
それだけ。