リオ・オリンピックのサッカーU-23日本代表(手倉森ジャパン)、残念な結果となってしまいました。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
ということで。
4年後の東京オリンピックを見据えて、ド素人の自分なりに分析してみたいと思います。
※当方、1999年頃からサッカー日本代表を割と熱烈に応援しておりますが、サッカーに関してはド素人でございます。ご了承ください。
ベストな18人を選ぶ事の難しさを痛感。
これはもうね…。
本気で勝ちたかったら、オーバーエイジも含め、ベストな18人を選ばなきゃイカン、ということがしみじみ分かりましたね。
これはあくまでも、本気で勝ちたかったら、という話です。
逆に言うと、オリンピックのサッカーにはガチで取り組んでない国も結構あるんですよね。
「五輪は所詮、23歳以下の大会。ガチで戦うのはワールドカップだけでOK」
という感じでしょうか。
たとえば今回、久保選手の招集が急遽、見送られました。
それまで手倉森ジャパンの攻撃の軸だった久保選手が土壇場でチームから離脱するというまさかの展開。
これは、久保選手が所属するスイスのチームに怪我人が出たため、所属チームが「やっぱり久保は貸してあげない」と言ってきたためです。
「オリンピックよりも所属チームの方が大事!」という考え方。
(日本から人を派遣して「どうにか久保を貸してくれ」と交渉したらしいですが、結果的にはダメだったようです)
個人的には、日本には五輪をガチで戦ってほしいと思っていますが、いろいろと難しいんですよね~。
今回の最も大きな敗因はオーバーエイジの人選と使い方の難しさ。
攻撃陣はね、久保抜きでも、大健闘していました。
問題は、守備陣の人選とオーバーエイジの使い方でしたね…。
一応ザックリ「オーバーエイジ」を説明しておきましょうか。
オリンピックの男子サッカーは、基本的に「23歳以下」の選手たちでチームが構成されています。
年齢制限なしの大会はワールドカップだけ、という位置付けですね。
ただ、非常に厄介なのが、
「3人以内なら、23歳以上のメンバーを入れてもイイよ」
というオーバーエイジ枠。
どういうことが起こるかと言うと、日本の場合、
オリンピック出場をかけた予選は23歳以下の選手たちだけで戦ってきたのに、
いざ本番のオリンピックになると、いままで一緒にプレーしていなかった年上の選手が、急にひょっこり3人、新加入しちゃうわけね。
ということは入れ替わるようにして、今までチームのメンバーだった23歳以下の選手の中から3人、落選してしまうということです。
予選を戦ってきたけど、本番には出られない若手選手が出てくるということです。
今大会は、それまでずっとセンターバックの主力だった岩波選手が出場の機会を1秒も与えられませんでした。
(もしかすると怪我明けだったので、体調を考慮した結果、出場できなかったのかもしれません)
いずれにしても、センターバックはオーバーエイジ枠で加入した塩谷選手が3試合とも出場しました。
岩波選手も、塩谷選手も、いろいろと複雑な心境だったかもしれません。
今、偶然見つけた7月19日の記事。
オーバーエイジでチームに加入する塩谷選手を、岩波選手が歓迎しています。
結果的に岩波選手は、出場機会を塩谷選手に奪われるワケですが…。せつない。
合流初日のこの日の夜には、DF岩波拓也(神戸)が「(オーバーエイジの)歓迎会をしようという話はしている」と明かしたように、オーバーエイジ3選手の歓迎会が行われる予定のようだ。
それを聞いた塩谷は「マジっすか!? 歓迎されているんですかね!?」と笑った
日本の予選敗退が決まった瞬間、岩波選手だけが泣いていたんでしょうかね?
試合後しばらくしてコロンビアの結果がピッチの上に伝えられた時、大きくうなだれたり、涙を流したりする選手は――唯一出場機会を得られず、ひどく落胆していた岩波拓也(ヴィッセル神戸)を除いて――いなかった。
手倉森ジャパン、苦闘と成長の948日間…悔しさを未来につなげるために必要なものとは (SOCCER KING) - Yahoo!ニュース
それまでずっとチームの中心だったのに、オリンピック本番では1秒もプレーできませんでしたからね。
ちょっと気の毒っちゃ気の毒でした。
まぁね、勝負の世界ですから、その時ベストな選手が出場すべきなんで。
私情を挟んじゃダメなんでね、岩波選手の思い出作りのために、ちょっと出場させてあげましょう、なんてことはあり得ないんですけどね。
結果から言うと、チームの他の選手との連携を考えると、ずっとU-23で一緒にプレーしてきた岩波選手を使うべきだったんじゃないか?
っていう話も出てきていますね。
初戦、塩谷選手の出来がイマイチでしたので、余計にね…。
オーバーエイジ枠の人選、藤春、塩谷、興梠は妥当だったのか?
まずねぇ、私の中での、ザックリとした選手の力量の位置付け。
かなりザックリですが。
★所属するJリーグのチームで主力
↓
★★日本代表でも主力
↓
★★★そのうえ海外の強豪リーグでも主力
って感じですかね。
選手の格、というか。
少なくとも、オーバーエイジで呼ばれる選手は、日本代表の主力以上であってほしかった。
で。
今回の3人は、ちょっと微妙っちゃ微妙なんですよね…。
準A代表クラスというか。
たま~に日本代表に呼ばれるけど、不動のレギュラーという感じじゃない。
このレベルの選手が、一緒にプレーしたことが無い若いチームに大会直前に加入して、ほぼぶっつけ本番で国際大会に挑むってのは…どうなんでしょう?
それで活躍できるほど、サッカーって甘くないんじゃないでしょうか?
4枚のDFラインのうち2人がOA選手とあって、U―23世代との連係不足が初戦の5失点にもつながった。「本大会だけポーンと入って、チームとしていきなり機能できるのか」と川本氏。
ベストの18人だったのか 「最低でもJ1レギュラークラス」の選手が必要 (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
OA3人の国際Aマッチ出場数は合計21試合で、全員が五輪もW杯も未経験。
ナイジェリア戦後、藤春は「思ったより(相手の)足が伸びてきた」とリオ世代と同じ言葉をこぼし、国際経験の乏しさを感じさせた。
ある選手は「連係は全然できていないし、最終予選メンバーだったらこんなにやられていない。
でもOAは絶対に出さなきゃいけない立場。仕方ないでしょ」と吐き捨てるように言った。
今大会を総括する時、やはりOA枠の問題は避けて通れない。
(略)
3人はA代表のレギュラーではないため、世界の戦い方を知らなかった。
知らないから、若い選手に世界の厳しさを伝えることができなかったし、強烈なリーダーシップを発揮することもできなかった。
これ、例えば、こんな感じの話なんじゃないのか?
高校選手権の前日に、サッカー強豪校に、突然OBが3人やってきたわけですよ。
「オレらもチームに助っ人として参加するから。選手権、出場してあげるよ」
つって。
でも、その3人のOBは現役当時、レギュラーじゃなかったんだよね。
OBたちは、選手権なんて、経験した事ないわけ。
一応、OBは年上だから、高校生たちよりも多少は上手いんだけど、急遽チームに参加した場合、連携不足でチーム力は、むしろ低下しちゃうだろ?
って話に近くね?
一応、パイセンだから、高校生たちは指示出しづらいし、かといって、パイセンたちはリーダーシップを発揮するわけでもない。
むしろ、ガチのハイレベルの大会に、アワアワしてるのはパイセンたち。
パイセン、平常心を失ってミス連発。
高校生、唖然。
例えばこういうことよ。
(年齢とか細かいところ違ってたらゴメン)
中島 翔哉(21歳)
日本代表歴
U-17
U-19
U-21
U-22
中島は、17歳以下、19歳以下、21歳以下、22歳以下、と日本代表を経験している。
日の丸をつけて大舞台で何度も戦ってきている。
手足の長い、身体能力の高い、外国の選手と戦ってきた経験がある。
南野 拓実(21歳)
U-17
U-18
U-19
U-22
南野も同様だ。世界と戦ってきた経験がある。
んで。
今回オーバーエイジで加入したDFの二人の経歴を見てみよう。
塩谷 司(27歳)
A代表2試合
藤春 廣輝(27歳)
A代表3試合
・・・・・・。
事実上、世界と戦った経験、ほとんど無いんだよね。
遅咲きの選手たちなんで。
それで、外国人選手の身体能力とか駆け引きにビックリしちゃってるワケ。
「えっ!そんなに速いの!?」とか。
「足なげ~~!」とか。
「そこ、強引にくるのかよ!?」とか。
あと、大舞台の経験が少ないから平常心でプレーできてない。
藤春がオウンゴール…。このレベルではやってはいけないミスですね。
「点を取りたかったのかな? あり得ない。最初は入ってないと思ったけど…」
英国人が見た五輪コロンビア戦「藤春のOGはあり得ない」「スウェーデン戦は決勝戦」【リオ五輪サッカー】 | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!
正直、私がスウェーデンの監督あるいはコーチだったら
ミーティングで
「3戦目の日本戦はフジハルを狙え。あそこが弱点だ」
って言いますよ。
あのミスは、技術的なモノじゃなくて、精神的なモノでしょうから。
あの場面、相手が詰めてきてプレッシャーかけてきてたわけでもない。
普段のJリーグの試合なら当たり前にクリアできるボールですよ。
藤春が平常心でプレーできてないことが露呈した感じ。
さすがに手倉森監督も、3戦目は藤春を使いませんでしたね。
危なっかしくて、無理。
ギリギリの戦いになればなるほど、パニくる可能性ありなんで。
結局、
「若い頃に世界を体験できなかった中堅選手に思い出作りを…」
という意味合いでの人選だったような気がして、どうにも腑に落ちない部分があります。
日本らしい人情、っちゃ人情なのかもしれませんけど。
オーバーエイジが機能したケースを。ロンドンオリンピックの吉田と徳永
実をいうと、ロンドンオリンピックの時も日本は、センターバックと左サイドバックにオーバーエイジ枠で加入した選手を起用しました。
今回とほぼ同じです。
で、どうなったか。
大成功です。
吉田麻也選手は、すでに海外でゴリゴリにプレーしている経験と実績、リーダーシップがありました。
年齢も当時24歳?だったかな。他の選手とほぼ同年代。
五輪本番ではキャプテンを務めました。
実力的にもずば抜けていたし、精神的支柱としても機能していました。
そして、左サイドバックに入った徳永悠平選手は、派手なプレーは見せないものの、圧倒的なまでに、全然ミスが無い。
めちゃめちゃ堅実なプレーに終始していました。
安心して任せられる、そういう存在でした。
攻撃力よりも、守備力重視。
オーバーエイジの人選、そのものが当たりだったように思います。
さて4年後ですよ。東京オリンピック。
4年後は、最強のメンバーで臨んでいただきたいです。
まずは監督選びから。
日本人監督に経験を積ませましょう、とかそういう感じになるんでしょうかね。
う~ん。
次は、オーバーエイジでの人選ミスは無しでお願いしたいです。
なにはともあれ、U-23のメンバーとOAのみなさん、お疲れ様でした!
今回の経験を生かして、所属チームへ戻っての更なる飛躍を期待しております!
藤春選手も、塩谷選手も、この悔しさをバネに、A代表に定着するところまで上りつめてほしいです!
あ、あとね、全敗を喫した2008年の北京オリンピックのメンバーをおさらい。
2008年の北京オリンピックのあと、めちゃめちゃバッシングされてましたよね。
3戦全敗。
酷い言われようでした。
そこまで?っていうくらい、選手たちは叩かれてました。
その時のメンバーを一部、挙げておきましょう。
のちの日本代表の主力たちです。
北京での悔しい思いをバネにして、その後は大きく成長したんです。
逆に、ロンドン五輪で日本は4位と大躍進を果たしましたが、その時のメンバーで日本代表の主力として活躍している選手はほぼいません。(清武くらいです)
こういったことからも私は、オリンピックでの悔しい経験は、むしろその後の飛躍につながると考えています。
今回のリオ五輪のメンバーの中から、何人がA代表(日本代表)にまで成長するか、とても楽しみです。
長くなりました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。